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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『闇バイト家族』
吹越満・光石研・綾田俊樹・麻生祐未とクセ者俳優揃いの中で、鈴鹿央士・山本舞香の若手もニセ息子&娘として存在感を発揮しています。
サンジの正体が刑事であることは早々に明かされていましたが、ならず者にしか見えないその怪しさと、闇バイト家族の面々の単純さとの対比が絶妙です。
闇バイトにひっかかり犯罪を犯したあげく、うさんくさい男に簡単に騙されて利用されてしまうニセ家族。命が危険にさらされたのに、あっけらかんと次の闇バイトにいそしみ、餃子屋を繁盛させたりニセ家族のことを本当の兄妹のように気にかけたり、まるでその生活を楽しんでいるかのようにも見えます。彼らは根っからの悪人ではなく、お金を欲するあまり「高収入バイト」という宣伝文句にホイホイひっかかってしまっただけのありふれた人びとです。もちろん、ちょっと立ち止まって考えればただのバイトではないことに気づくわけですが。
ドラマといえばそれまでですし、もちろん非常に面白い作品なのですが、たぶん実際に闇バイトに手を染めてしまう人たちは追い詰められて思考能力を欠いてしまうのかなあ…なんて考えさせられてしまいます。

『君が心をくれたから』
一話を観て、「どうしようかな…やめようかな…とりあえず二話を観て考えよう」と次も視聴してみたら、やめられなくなってしまいました。
一話のラストまでは『Silent』に雰囲気が似ていて、時を経て再開したふたりの過去の甘酸っぱい思い出と現在の辛い状況が交差するラブストーリー仕立てでした。しかし太陽が交通事故に遭ってから雰囲気は一変。案内人と名乗る男女が太陽の命を救う代わりに雨の五感を奪うと告げるファンタジー、それも激しく重い内容に。
そうなることは事前のあらすじで知っていましたから衝撃はなかったのですが、いざひとつひとつ感覚を失っていく展開を目のあたりにすると、この先を見届けたいという思いが強くなってきました。
夢も恋も手放してしまう悲しみ、絶望、恐怖心。それらを言葉にせずとも共感できるのは、永野芽郁が雨という人間を繊細に演じているらです。
幼少期母親に虐待を受け、学校にもなじめず孤独な生活を送っていた雨が、太陽という光と出会い情感を取り戻していくそのさまは、とても丁寧でかつ自然に描かれていました。
記憶は五感と紐づいているもの。そしてそれは雨の人生の過程であり、また未来を構築していくファクターでもある。五感を失うということは、雨のこれまでの、そしてこれからの人生を奪うこと。すなわち心を失くすこと。
これから雨は次々に失っていく。それでも守りたかったのは、太陽の夢。その大切な存在を突き放し、雨のもとに残るのは何だろう。
きっと悲しい展開が続くと思います。それでも最後はハッピーエンドになると信じたいです。
設定はファンタジーではありますが、五感とは何か、心とは何か、本当に大切なものは何かを考えさせられる、深い作品だと思います。

『不適切にもほどがある!』
すっかりクドカンファンになってしまったワタクシ。今回も脚本はらしさ全開、阿部サダヲとのコンビですから間違いなし。
自分も昭和生まれですから、昭和61年から現代にワープしてきた市郎の驚きはわかります。しかし物理的なギャップにはすんなり対応し、現代人に対して昭和の価値観を一方的に押しつけるのではなく、人の心に寄り添って渚や秋津の心を溶かしカウンセラーにまでなってしまった市郎は、案外柔軟な人間なのかもしれません。体罰暴言なんでもありのハチャメチャな地獄のオガワも、根っこはやっぱり先生だということなのでしょうか。
昭和に帰れなくなったと思いきやまた舞い戻ってしまった市郎ですが、いったいこれからどうなっていくのか展開が読めません。逆に令和から昭和にやってきた向坂親子は令和に帰れるのか、キヨシの恋の行方も気になります(「地上波でおっぱいが見たいんだ!」は笑った…確かにポロポロ出ていたな…)。
秋津とそっくりなムッチ先輩の正体もいかに。現代のシュッとしたサラリーマンと、相良よりさらに古い型のヤンキーを演じ分ける磯村勇斗が魅力的です。
突然のミュージカルは、そのままセリフで言わせると説教くさくなってしまうゆえの演出なのでしょうが、長くてちょっとダレてしまいます。わざわざそのために? ミュージカル俳優を起用するあたりはさすがですが。

『光る君へ』
『あさきゆめみし』や『なんて素敵にジャパネスク』にハマった人間ですから、あれらを映像にするとこうなるのか! と感動の連続です。
歴史ドラマとして観るならば「セリフが現代的」やら「偶然出会うなんてありえない」やら、ツッコんでいけばきりがありませんが、当時の風俗に忠実にドラマ化しても、御簾やら几帳やらで女優さんの顔が全然見えないなんてことになってしまうし…。平安時代の年表には詳しくないので、創作ものとして割り切って観ています。逆に雨夜の品定めや五節の舞姫など、源氏物語の一場面を匂わせる演出には思わずニヤニヤ。
これからまひろの人生はどう展開していくのか、まだ純粋な道長がどのように出世していくのか、散楽の男の正体やいかに、何より今のクオリティが一年持つのか、興味深々で見守っていきたいと思います。






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