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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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V6が出てきた頃、まわりでは岡田くん派と三宅くん派に分かれていました。そんな中、肩身の狭い思いをしていた森田くん派の私。「岡田くんなんてナヨナヨしてるし泣き虫だし、何がいいのさ!」なんて反論していたものですが、まさか年を経てあんな骨太俳優になるとは思いもしませんでした。見る目のない私。
ここ数年の俳優としての岡田くんの業績は述べるまでもありませんが、しかし森田剛もなかなかどうして、存在感ある脇役として活躍しています。ドラマ版『零のかなたへ~THE WINDS OF GOD』(2005)では舞台版に負けないキンタの可愛らしさと芯の強さを感じましたし、最近では『リスクの神様』『ハロー張りネズミ』でもいい味を出していました。「宮沢りえのダンナ」とは言わせないだけの実力を備えてきたと思っています。
この作品でも、森田剛は彼独特の厭世的な雰囲気を活かし、容赦なく人を殺すことのできるサイコキラーを演じています。
前半は清掃会社でバイトする岡田と先輩の安藤、安藤が片想いしているユカの三角関係的ラブコメ調で話は進みます。安藤役のムロツヨシの個性的な演技でクスリと笑える場面も多く、怖い映画と聞いていたのにと肩透かしをくらいさえするのですが、岡田の高校時代の同級生でユカのストーカーである森田が岡田とユカの関係を知った作品の半分あたりで、ようやくタイトルバックが始まり、雰囲気がガラリと変わるのです。
その口調に象徴されるようにすべてが投げやりな森田。彼は岡田の知らないところで躊躇なく人を殺し、火をつけるような人間になっていました。生きる意味を求めようとする岡田に対し、生きることすら面倒くさそうな森田には、高校時代、自分をいじめていた同級生を殺した過去がありました。そしてその死体の前で自慰して果てた瞬間に、彼は一変しました。
死体とともに、彼のおぞましい過去は土に埋まりました。
岡田はいじめの首謀者である川島に唆されて森田を学校に呼び出し、ともに嘲笑ったことがありました。そのことを謝罪する岡田に、森田は包丁を向けながら憶えていないと答えます。憎しみも恨みもなく、人に刃を向けることのできる人間に、森田は変化していたのです。
森田をそうさせたのは、言うまでもなくいじめの記憶です。
人が人を殺すことに、人は理由を求めがちです。人の命を奪うことはあってはならないことであり、理由なく人を殺せるはずがないという潜在意識があるからです。
この作品で言えば、森田を殺人鬼に変えたのは川島です。もともとはゲームが好きな普通の少年だった森田は、川島のあまりにも非道な仕打ちの数々に耐え切れなくなり、ついに人としての一線を越えてしまいました。森田は「変わってしまった」のであり、ふとしたことがきっかけで「戻る」ことになります。すなわち真性サイコパスとして描かれてはいません。
原作は未読ですが、ネタバレサイトによると、原作の森田はある日自分が普通でないと気づきます。それが悔しかったことを思い出し、最後は泣きながら警察に捕まります。岡田とユカが彼に危害を加えられることはありません。真性サイコパスの悲哀とでも言うべきか、人を殺めながらも普通でないことが悔しいと泣く森田の思いに、岡田が気づくことはなかったのでしょう。物語としては、こちらの方が優れていると感じます。このままでもじゅうぶん見ごたえのある作品になったと思いますが、岡田側の視点から描かれたこの作品においては、森田が殺人鬼たるに何らかの始点を配置しなければ、着地点も見いだせなかったのだろうと察します。流れとしては平凡になってしまいましたが、感情移入を誘うにはじゅうぶんな設定でしたし、森田剛が持つアイドル的笑顔が最後に活きて悲しみを催すラストになっていました。
やはり森田くん派だった私の目に狂いはなかったようです。
しかしイノッチの魅力には誰も気づいていなかったのですから、見る目がなかったのはその場にいた全員なのかもしれないなぁ。






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