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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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山小屋に迷い込んだ見知らぬ3人の男女、というイントロダクションは一時流行った設定のようですが、考えてみたらその手のサスペンスはほとんど観たことがないような…。
当初に感じていたささいな違和感は、謎があきらかになっていくにつれ解き明かされていきます。
サマンサの古風ないでたちとレトロな車。
3人が見る奇妙な夢。
トムとサマンサ、ジョディとサマンサ、トムとジョディの間のそれぞれの空気感。
3人は血縁者で、時代を超えて同じ場所に集まってきていました。
そしてそれぞれ、不幸な運命を背負っていました。
さらに現れたドイツ人兵士、ハンス。彼は第二次世界大戦で命を落としたサマンサの父親。
ハンスが生きてさえいれば、未来は変わっていました。サマンサが出産で命を落とすこともなく、ジョディが死刑囚になることもなく、トムが神父に虐待されることもなく。
3人はハンスを救うため、そして未来を変えるため、命をかけて戦います。
登場人物はほぼ4人、狭い空間、貧相な空爆シーンなど、低予算まるわかりなうえ、使い古されたタイムリープものにもかかわらず、じゅうぶん良作に仕上がっていました。タイトルは原題の『Inter Nowhere』の方が良かったような気もしますが。
3人の謎がだんだん明らかになっていく過程や伏線回収のタイミングなどテンポが良く、それぞれの行動にも矛盾を感じませんでした。アイディア一発勝負で、まだまだこのジャンルにも面白い作品は産まれるのだなあと感服します。
3人の奮闘のおかげで未来は変わりました。
死なずに帰国したハンスは、篤志家として天寿をまっとうします。ラストカットは、立派な邸宅から海に向かう貴婦人のサマンサとエエトコのお嬢様風のジョディでした。
幼いトムの姿はありませんでした。
鑑賞後、ヤスオーと「トムはどうなったのか?」という議論をしました。ヤスオーは「ジョディがやさぐれなければ強盗の相棒と知り合うこともないから、トムは生まれない」と言いますが、私はきっといずれトムもジョディの息子として生まれてくるのではないかなあと思います。なぜならサマンサの夫が必ずしもアダムとは限らないですし。片親のサマンサに冷たくするような両親を持つ男とは、ハンスが結婚させないような気もしますし。アダムではない夫との間にジョディが生まれてきたのだとしたら、トムも生まれてくるはずです。
セワシもこう言ってるし!
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