あべのハルカスで行われていた広重展に行ってきました。 7月から始まっていたにもかかわらず、開催終盤での滑り込み。 やはり混雑していました。 『広重ぶるう』で予習したとおり、くすぶっていた時代の役者絵から彼の名を一躍有名にした名所絵まで、もりだくさんです。 中には写真撮影OKの部分もありました。 雨の描写も印象的な広重。 橋の上のシルエットが秀逸。 家族の解釈が面白いですね。 見事な構図に唸らされます。 夕刻の柔らかな海風に乗せて、人びとの喧騒と鳥の鳴き声が聞こえてきます。 「摺の極」と謳うだけあって、摺によって表現された海や空のスケール感を堪能できます。『広重ぶるう』にも彼の意図を具現化する摺師が登場しますが、摺によって図柄を変えられるのが浮世絵の面白いところ。教科書には絵師の名前しか載りませんが、名作が生まれるのは彫師・摺師の仕事ぶりあってこそです。来年の大河ドラマは蔦谷重三郎が主人公ですが、彼らにもスポットを当ててほしいなと思います。 じっくり見て回っていると、いつの間にか2時間以上経過していました。足が棒のよう…。 お土産はもしも猫展でも見かけた「名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣」。やっぱりこの猫のフォルムが好き~。
柔道団体戦は土曜の深夜だったこともあり、最後まで観てしまいました…。
初戦のスペイン戦がヒヤヒヤだったのでどうなることかと思いましたが、無事に決勝進出。相手は前回王者のフランス。厳しい戦いになるだろうなあと予想はしていましたが、本当に厳しくてつらくて、終わった瞬間は悲しくてなりませんでした。それでもベストメンバーが組めない中で日本チームはよく戦ったと思います。階級差をはねのけた高山選手や角田選手の勝利は見事でしたし、阿部一二三選手も敗れはしましたが素晴らしい攻めの連続でした。試合開始から鋭い眼光で体重差をものともせずに技を繰り出し続け、相手選手は気圧されているように映りました。延長に入ってからは相手に戦う姿勢が見られず、なぜ3つ目の指導が出ないのかやきもきしましたが、この決勝は指導で決着をつけないという決めごとがあったのでしょう。最終戦も斉藤選手に指導が出てもおかしくない状況でしたがありませんでしたし。それもどうなんだという話ですが。 もはや「回さんでいいやろ」なルーレットには思わず笑っちゃいましたが、最終決戦を担うのは大将であるべきということを鑑みると最重量級が選ばれるのは必然だと思います。リネール選手の戦法の是非はさておき、解説の穴井氏も言っていましたが、大将を任せるには斉藤選手には実力的にも経験的にも荷が重かったということでしょう。ただ、ファンに謝る必要なんて微塵もない。選手はいかなる状況においても懸命に戦っていたことは痛いほど伝わってきたし、これを糧に4年後成長した姿を見られるのならそんなうれしいことはないし、ただその日を楽しみに待ちたいと思うだけです。 日本の、日本の柔道の矜持を日本より柔道人気のあるフランスの地でしっかりと体現した日本チームは、立派だったと思います。それをこれからどう勝利につなげていくのか。日本の柔道とJUDOの乖離が解消する日は、まだまだ先になりそうです。 東京大会で驚かされたのはフェンシング男子エペ団体の金メダルでしたが、今大会はさらに躍進。エペ個人で加納選手が金メダルを獲得すると、団体では銀メダル。女子も負けじとフルーレ・サーブル団体で銅メダルをそれぞれ獲得。そして最後は男子フルーレ団体の金メダルで有終の美を飾りました。日本はいつの間にかフェンシング大国になりました。体格では圧倒的に不利なはずなのに、一瞬の隙をついて剣を繰り出しポイントを奪うあたり俊敏性も必要ですから、西洋のスポーツとはいえ実は日本人に向いていたのかもしれません。 16年前、フェンシングではじめて日本にメダルをもたらしたのは太田雄貴さんですが、現役選手の頃から競技の普及に尽力してきました。マイナー競技の先駆者としてのレジェンド的存在ですが、飛び込み界のレジェンドといえば寺内健。はじめてオリンピックに出場した頃からずっと応援していました(その肉体美に魅せられて…)。しかしメダルを量産していた競泳と異なり、飛び込みにおける世界の壁は高く厚く、日本人が表彰台に立つことは夢のまた夢だと思っていました。 その夢を現実にしてくれたのは、17歳の玉井陸斗選手。関西ローカル番組ではよく天才少年として特集されていたのでまだまだ幼いイメージがあったのですが、メッチャ精悍な兄ちゃんになっていたのでびっくりしました。5本目でミスして順位を落としたものの、最後は圧巻の得意技で見事な入水。表示された得点は99点、ついに世界の壁を超えた瞬間でした。解説席にいた寺内さんの涙まじりの声には、こちらも思わずもらい泣き。 どんな競技でもそうですが、選手や解説のあふれる感情にはこちらの心も揺さぶられます。ひたむきに努力し世界で戦う人たちの言葉の力はすごいとあらためて感じました。 開会式の旗手をつとめたブレイキンの半井選手。釈然としない判定もあり、惜しくもメダルには届きませんでしたが、試合後に周囲への感謝と競技への愛情を爽やかな笑顔でとめどなく語っていました。詳しくはありませんがブレイキンは本来順位を争うものではないような気がするし、選手たちのオリンピックへの熱量はおそらくメダルを期待する国民のそれとは乖離しているのではないかと疑問だったのですが、半井選手が決して自分のためではなく、周囲やブレイキンの未来のことを考え誠心誠意このオリンピックに向き合っていたことが伝わってくるインタビューでした。ここまではっきりと自分の言葉で自分の思いを明確に伝えられることに尊敬の念を禁じえません。見た目や年齢や競技内容の印象で決めつけていた自分が恥ずかしくなりました。 やり投げではじめて日本女子フィールド種目に金メダルをもたらした北口選手は、試合後に「誰が味方かわからなくなった時期があった」と語っていました。優勝候補と目されるプレッシャーがいかほど苦しかったのか、調子の上がらない不安がどれほど大きかったのか、安易に金メダルを期待していたのが申し訳なくなるほどでした。最後ははじける笑顔で終われて本当に良かった。 陸上の躍進はいちじるしいものがありました。3000m障害で2大会連続入賞した三浦選手や110mハードルで5位に入った村竹選手の成績は今後も楽しみですし、個人戦の敗者復活を回避してまで挑んだマイルリレーはアジア記録を樹立。この大舞台で自己記録を更新した高跳びやマラソンの選手の胆力には感嘆しました。注目度の高い4×100mリレーは最後までバトンがつながったものの、各国の速さに圧倒。それでも3走でトップに立った時は興奮しました(解説の「逃げてー!」は日本じゅう呼応したであろう)。 一方、競泳陣が結果を残せなかったのは残念です。アーティスティックスイミングも欧州主体のルール改正についていけなかったようでした。 陸上と同じく日程終盤に楽しませてくれたのはメダルラッシュのレスリング。女子は全階級で、男子も5個のメダルを獲得。最終日にも男女で金メダルに輝き(決勝が夜中でなかったので観られて幸せ)、金8個の荒稼ぎ。もともと日本のお家芸ではありましたが、今回の活躍ぶりは素晴らしかったです。どうしてこんなに強いのだろう? 今大会は馬術やセーリング、近代五種などめずらしい競技でメダル獲得。普段は目にしないような競技にスポットが当たるのはオリンピックならでは。近代五種は動画がなくて残念です。次回から馬術の代わりにSASUKEが採用されるようで、ちょっと興味が湧きました。 と、日本選手の活躍が目立つパリ大会ではありましたが、いろいろと問題点が多かったのも事実。柔道のみならず、バスケのファウル判定やら、バレーのイエローカードやら、判定にモヤモヤする場面が多くありました。オリンピックが大きい祭典であればあるほど、その裏に見え隠れする思惑も深く大きくつきまといます。それだけでなく、アスリートへの誹謗中傷問題はJOCが声明を出すまでに事態となりました。法的措置を取るのはもちろんですが、早く厳しい罰則を設けてほしいと思います。 オリンピックを純粋に楽しんでいた頃が懐かしい。 少なくとも、四年に一度のこの大会にすべてを賭けるアスリートへのリスペクトは忘れてはいけないと思うのです。 |
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