サンキュー大作戦完遂をめざす青学大の復路は、田村・下田・安藤ら選手のエントリー変更で意気揚々。33秒差を追う早稲田大。4年前、27秒差の東洋大を逆転した復路の再現はあるか。
シード争いも例年類を見ない混戦が予想されます。 今年の復路も見どころ満載。 《6区》 青学大6区は昨年初の箱根で区間2位の小野田選手。芦ノ湖最初の号砲で駆け出すと、5キロ地点ですでに早大との差を1分に広げます。 大会前は3位以内を目標としていた5位スタートの駒大。神奈川大に差を詰められてしまいます。さらに昨年区間3位の中央学院大・樋口選手が二校を抜いて5位浮上。山下りは上り以上に適性が必要と言われていますが、それを実感させられる入れ替わり劇です。 昨年区間新記録を作った日体大・秋山選手は、最後の箱根でさすがの走り。13位スタートから5人抜き、さらに駒大も抜いて7位浮上。すさまじいスピードです。 法政大も飛ばしています。4人抜きで一気にシード圏内へ。 小野田選手は軽快です。追う早稲田、いったんは差を詰めるも終盤に離される展開。下りで飛ばしたせいか平地で苦しみ、タイム差は2分以上に開いてしまいました。 区間賞は秋山選手。みずからの区間記録を塗り替え、57分台にも迫ろうという新記録でした。 シード争いは、10位帝京大から13位上武大までおよそ40秒差。まだまだわかりません。 《7区》 青学大はここにエース級の田村選手を配置。しかも楽に走れるタイム差です。追いすがりたい早大・井戸選手。 9位駒大に10位帝京大が迫ります。常勝軍団・駒大、まさかのシード権争いに巻き込まれてしまうのか。 早大の後ろでは東洋大が45秒差の順天堂大に追いつきます。3位争いもデッドヒートの様相。 一時は3分近く差をつけていた田村選手ですが、15キロを過ぎて、表情が苦悶に変わりました。運営管理車の原監督も心配な様子。陽ざしが強くなり、脱水症状を起こしたのでしょうか。 残り4キロ、苦しみながらも田村選手はトップを守って走り切りました。差を詰めた早大・井戸選手は遅れること1分21秒。1年生の後続ランナーに託します。 3位は東洋大。続いて順天堂大を抜いた神大が4位で平塚へ。さらに日体大が5位に上がりました。 シード争いでは東海大・石橋選手が区間賞の走りで11位まで順位を上げました。10位に1分差まで迫っています。 《8区》 青学大の下田選手は前回8区区間賞。直後の東京マラソンでも学生トップの成績を残した実力者が、7区で詰まったタイム差を区間新記録ペースでどんどん広げていきます。あまりに順調すぎて映像が少なくなってきました…。 前区から並走する駒大・帝京大に東海大が迫り、シード争いはますます熾烈になってきました。 一方、3位は神大と東洋大の鍔迫り合い。順大・日体大も5位を争います。 走れど走れど、開いていく早大と青学大のタイム差。心を折るような下田選手の激走です。もはや順位を守るというよりも、自分との、記録との闘いのよう。 残り4キロを切って、東海大・春日選手が帝京大をとらえます。宇佐美選手も負けていません。平塚まで並走が続きます。先を行く駒大とも15秒ほどしかありません。シード争いは最後まで目が離せないことになりそうです。 下田選手は区間記録更新こそなりませんでしたが、早大に5分半もの差をつけ、首位をガッチリ固めました。箱根三連覇を阻むものは、もうありません。 《9区》 青学大・池田選手は最初で最後の箱根。ハイペースの独走、快走でラップを刻みます。 いつの間にか、2位を行く早大は前よりも後ろを気にしなければならなくなりました。後続との差は1分強。半分を過ぎた頃には30秒内に。 何としてもシードを守りたい駒大の片西選手は、序盤で積極的に突き放しにかかります。東海大・川端選手は、帝京大を抜き去ってついに順位をシード圏内へ押し上げました。追っていきたい帝京大・平田選手ですがその差は開いていきました。川端選手はさらに片西選手に詰め寄り、9位浮上。駒大、踏ん張りどころです。 残り5キロを切って、ついに東洋大が早大に追いつき、さらには置き去ります。貯金を失うことになった早大は苦しい復路となってしまいました。 法大が日体大・中央学院大を抜いて6位浮上。中央学院大がついていきます。置いて行かれた日体大に迫る東海大・駒大。50秒以内に5校がひしめきあう混戦です。 東洋大は野村選手が区間賞の好走で2位浮上。予選会から飛躍した神大はシードを確実にする4位で鶴見へ。法大も城越選手の力走でシード圏内です。駒大は8位。東海大・日体大を追う11位の帝京大は45秒差、少し苦しいでしょうか。 《10区》 青学大は4年生同士の襷リレーとなりました。安藤選手は二年前の初優勝時のアンカー。今回最後の箱根でもトップでのゴールへ向かって走ります。 順大がふたたび4位に浮上。8位は日体大・東海大・駒大の争いに。リードした日体大は、さらにその先の法大にも追いつきます。いったんは東海大に置いて行かれた駒大は、ふたたび9位に。学生連合の東京国際大・照井選手は記録こそ残らないものの、区間トップのタイムを計測しています。 各チーム、伝統とプライドを賭けて挑む最終区。 熾烈な闘いが随所でくり広げられる中、今年も青学大のフレッシュグリーンが席巻した大手町。 7区では険しくなっていた原監督の表情ですが、ゴール前にはいつもの笑顔に。メンバーの待つ先へ、安藤選手は誇らしげに両手に3の字を掲げてゴールテープを切りました。 《総括》 成功率「39%」、今年の青学大のテーマはサンキュー大作戦と名づけた原監督。当初は不安視されていた三冠&三連覇を達成し、大・大成功裏に終わりました。 今までで最も少ないタイム差で始まった復路ですが、立役者は小野田選手と下田選手。計算どおりの走りで後続に差をつけました。初シードから始まり、あれよあれよという間に強豪校の地位を固くした青学大。その時代はまだこれからもしばらく続いていきそうです。 2位は芦ノ湖の4位から順位をふたつ上げた東洋大。「1秒を削り出す」貪欲な姿勢はつねにチーム全体に浸透しており、今後の上位は揺るぎそうにありません。 期待された逆転劇は起こりませんでしたが、安定した成績を守った早大が3位。 4位には順大が入りました。かつて箱根を沸かせた伝統校が復活の予感です。 2区の勢いを守り切って、予選会から出場の神大が5位に入りました。実に12年ぶりのシードです。 6位には大学史上初の3年連続シード権獲得の中央学院大。続いてシード圏外から6区で盛り返した日体大、4年ぶりシード権の予選会組の法大。常勝軍団・駒大は何とかひと桁順位を守りましたが、盛り返しに期待です。 最後のシードは、往路の1年生軍団こそ力を発揮できなかったものの、15位から順位を上げた東海大の手へ渡りました。 いっぽう、箱根の歴史に名を刻む明治大・山梨学院大が鶴見で繰り上げスタートとなりました。伝統校であればあるほど、それを守り続ける難しさに直面することとなります。新人の獲得に始まり、本番に向けての調整、当日の配置に至るまで、監督に求められるスキルはいっそう大きくなります。厳しい闘いではありますが、各大学の2017年の成長を見守っていきたいと思います。 終了後、出回ったTwitterの動画が大きく報道されました。神大10区のランナーが交差点で車とあわや接触しかけた瞬間です。背筋が寒くなりました。車が警察を無視して侵入してきたようにも映りますが、それまでの車の流れからして警察の制止のタイミングが遅かったことは明らかです。ひとつ間違えば大事故、ランナーの棄権はおろか命すら危うかった状況です。神大の順位はほぼ確定していて、飛ばす必要のない状況だったことから事故を回避できたようなもので、もしこれがシード争いにかかわるような場面であったなら、ランナーは速度を落とすことなく交差点に侵入していたかもしれません。東京オリンピックを前に、昨年ニューイヤー駅伝で観客のマナーを問題にしましたが、今年はあってはならない警察の失態に、ますます気を引き締めてもらいたいと切に思います。 PR |
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