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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『虎に翼』
伊藤沙莉&中野大賀というだけで観たくなります。『拾われた男』でも良き夫婦役でした。
実在した日本初の女性弁護士をモデルにしているようですが、昨今のやや極端にもなりかねないジェンダーフリーやミソジニーといった主張におもねるようなものだったらどうしよう…と不安だったのですが、今のところシリアスよりもコメディ寄りな場面が多く楽しめています。
おかしいと思うことをおかしいと言い、男性に交じって法律を学ぶ寅子は、昭和初期の日本においては「変わり者」以外の何ものでもありません。しかしそんな寅子を父親は懐深く受け止め、最初は反対していた母親も娘が男性に馬鹿にされている現場に遭遇して主張を変えます。兄や居候の書生含め、寅子の周りはあたたかい人たちばかりで、彼らに囲まれて育った寅子がただの「変わり者」ではなく素直で純粋な人柄であるのもうなずけます。
そして、人前では「スンッ」としている母も兄嫁も、皆心のうちには秘めた思いを持っていて、自分なりの人生を確立させるために苦しんでいる描写もあります。男社会で戦おうとする寅子のみならず、どんな立場の女性のアイデンティティも尊重するまなざしが優しいです。
寅子一家のみならず、明律大の面々も個性的です。それぞれに過去を抱える女子部の同窓生、本科の男子軍団も花岡や轟など、これからさらに深く掘り下げられそうなキャラが多く、寅子の成長譚だけでなく人間ドラマとしても楽しめそうです。

『アンメット ある脳外科医の記録』
記憶障害の脳外科医…杉咲花が医者には見えないな…とあまり期待せずに観始めたら、クオリティの高さにすっかり魅了されてしまいました。
メインの杉咲花と若葉竜也は安定していますし、井浦新や岡山天音など脇を固めているのも実力派と、キャストに安心感があります。ミヤビの失われた2年間に何があったのか、これから紐解かれるであろう謎を縦軸に、それぞれの脳障害に向き合う患者とミヤビという横軸も奥が深く、考えさせられる物語に仕上がっています。
どんな着地点になるのか、今から楽しみです。

『Destiny』
うーん…なんだろうこのもったいなさ。豪華キャストに椎名林檎、過去の事件が今に絡んでくるというミステリなら面白くならないはずがない導入部、ひとつひとつのファクターは極上なのに、組み合わせるとなんだか全部間違えているような…。『最愛』を意識したのか? と思わないでもありませんが、今のところ出来は足元にも及びません。
意味ありげな発言や思わせぶりな表情ばかり出てきますが、結局のところカオリの死も奏の父の事件についても謎はまだひとつも解明されておらず、観終わっても消化不良感ばかりが残ります。奏や真樹の行動も感情移入できないし…。安藤政信を起用してまさかただのあて馬なんてことはないでしょうね?
そしてなんといっても主題歌のチグハグ感はすごいです。なぜこれをこのドラマに起用しようと思ったのか不思議でなりません。クライマックスで流れるものだから重要な場面のはずなのに集中できないし、セリフは聞こえないし、ここまでアンバランスな主題歌は聴いたことがありません。脱落しそう…。

『季節のない街』
ネット配信のクドカンドラマが地上波放送と聞いて、観ないわけにはいきません。すっかりクドカンフリークになってしまいました。
クドカン節は相変わらずですが、原作は山本周五郎。昭和の色濃い原作の舞台を、「ナニ」という大災害の被災者が暮らす仮設住宅に変更した、その視点が秀逸です。
人情なんていうと押しつけがましいですが、適度な距離感と外しでお涙頂戴にはしないクドカン節が最高。いつまでも観ていたくなる作品です。








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