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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『カムカムエヴリバディ』
最終週は月曜日から涙、涙でした。
安子が誕生した日から始まった「100年の物語」。安子が100歳を迎えたところで、お話は幕を閉じました。
やはり、アニーの正体は安子でした。あの日、雉間家の扉に遮断された安子とるい。長い長い時を経てめぐり逢ったふたりは、あの時演じていた女優と子役ではもちろんありません。しかし、隔たりの時の間にそれぞれめぐらせたさまざまな思いは、一瞬にして溶け合い混ざり合い、母娘の絆としてふたたたび強く固く結ばれたのです。現在のふたりと同じように抱き合ったあの日の安子とるいのシーンは、観ている者にはたった数ヶ月のことでしたが、実際には50年の月日が流れていることを感じさせました。そしてこの数ヶ月、どれだけこの瞬間を待ち望んだことか。
年を重ね、愛を知り、母となり、「誰でも間違うのだ」と理解できるようになり、傷痕を隠さず生きられるようになったるい。
稔の遺志を追い求め続けた安子。
そしてそんな祖母と母の血を受け継ぎ、これからもサニーサイドを歩き続けるひなた。
三人の女性のそれぞれの生きざまが、しっかりと伝わった半年間でした。
そして三世代をつなぐ役割であるるいの存在がもっとも重要であっただけに、オーディションでなく配役された深津絵里は素晴らしかったと思います。暗い過去のせいで控えめだった少女時代から、錠一郎と出逢い前向きになり、母として子を育て家計を支え、人をゆるす侃さを身につけた中年に至るまでのるいの顔つき、所作の変化は印象的で、ひなた編から脇役に移ってもなおるいの存在感はずっと健在でした。とくに最終盤の、ラジオで安子の存在を知った時の演出は安達もじりらしいワンカットでしたが、深津絵里の表情に惹きこまれてまったく気になりませんでした。
最終回は、すみれがモモケンと再婚したり、桃太郎がきぬの孫と結ばれ監督として甲子園に出場したり、ディッパーマウスブルースをるいと錠一郎が継いでいたり、ひなたが初恋の人ビリーと再会したり、とさまざまな後日談が語られての大団円。
すべてがまるく収まったわけですが、そこに至るまでの道程は決して安泰ではありませんでした。戦争で家族を失った安子はもちろん、心と身体に傷を負ったるいもそうですし、錠一郎は人生を賭けていたトランペットを奪われました。平和な時代を生きるひなたさえ恋しい人とは結ばれず、桃太郎は失恋で人道を踏み外しかけました。しかしそれを乗り越えた先こそが、人生。たとえ明日が見えなくても、「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」。そして「身に着けたものは一生の宝となるもの」。その先に、ひなたの道がある。後半になって出てきた虚無蔵のセリフこそがこの作品の根幹を示し、そして誰しもに用意されたひなたの道へのしるべだったように思います。
そしてラストシーンは2025年。マスクがなくても暮らせる生活になっていればいいな、と思いました(『おかえりモネ』最終回でもコロナ終結が示唆されていましたし)。そして現金しか扱えない店があってもいいよね、なんて。





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