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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『おちょやん』
舞台「千代の一生」。素晴らしい千秋楽でした。
一平と離婚して姿を消した千代の姿は、京都にありました。マヤのごとく舞台上で仮面をかぶれなくなった千代を救ったのは、かつて自分を生家から追い出した栗子でした。彼女こそが花籠の贈り主であり、栗子とその孫にあたる春子とともに暮らすうち、千代が負った深い傷は少しずつ癒されていきました。ラジオドラマでの復帰に背中を押したのも栗子でした。
家族を失い裏切られ続けた千代が、ようやく手に入れた大切な家族の待つ帰るべき家。それを用意したのが、まさかあの憎らしい栗子だったとは。
スタートからラストまで完璧に配置された脚本に唸らされました。半年間待った甲斐があるというものです。
半年の間に、千代は幼女から成長し、恋を知り、女優になり、結婚し、座長を支えるしっかり者の妻になりました。賑やかで元気いっぱいの少女だった杉咲花も、いつの間にか落ち着いた大人の女性になっていました。京都でひっそり暮らす千代の背中は丸みを帯び、人生に疲れ切った中年女性そのものでした。
そしてラジオドラマで花車当郎と巧妙なかけ合いを演じる千代は、子ども役の相談に乗る千代は、まさしく人生の酸いも甘いも噛み分けた熟練のお母ちゃん女優でした。
少女からお母ちゃんになるまで、浪花言葉も含めて完璧に演じ切った杉咲花はさすがの演技力でした。関西以外の出身者が、ただの会話だけでなく、テンポや間の複雑な喜劇を演じなければならない苦労は想像を絶しますが、ネイティブしかも本職のお笑い芸人である塚地武雅と掛け合ってもまったく遜色なく、もっとこの夫婦漫才を観たいという気持ちにかられました。『お父さんはお人好し』、スピンオフでやってくれないかな。
最後はすっかり嫌われた成田凌も、好演だったと思います。心中さまざまな思いを抱えながら真意を見せない一平に、幅広い役柄を演じられる成田凌のミステリアスな神秘性がよくマッチしていました。千代との共演を無事に果たし終え、改めて喜劇に人生を捧げる決意を劇団員に示したシーンは、それまでのどこか迷いや葛藤を捨てきれなかった雰囲気がすっかり抜け落ちて、強い熱意に満ちていました。ホント、次は大河あたりでかっこいい役をやらせてあげて。トータス松本にも言えますが…。
あの世から千代の舞台を観にやってきたテルヲとヨシヲがじゃれあう様子は、何だか泣けました。大人ヨシヲとテルヲが相見えることはなかったですもんね…。
ちび千代=春子を演じた子役の存在感も大きかったです(彼女もネイティブでないと知り驚き。演じ分けもできていましたし将来が楽しみな女優さんです)。最後はちび千代と千代が一緒に月を見上げているような感覚でした。しかし栗子のお腹の子の父親はテルヲではないと思っていたのですが…血のつながりは関係ないという千代のセリフで少し緩和されたかな。

「今ある人生、それがすべてですな」
「生きるっちゅうのはほんまにしんどうて、おもろいなぁ」

その言葉がしみじみと心に沁みます。
本当にしんどかった千代の人生。しかしあらゆる艱難を乗り越えてたどりついた舞台の上は、「おもろい」という言葉が自然と出てくるほど素晴らしい景色が広がっていたのかもしれません。
観ている者もしんどかった半年でした。しかしそれに耐えて迎えたこの千秋楽、おもろい人生を歩んできた、そしてこれからも歩んでいく千代の笑顔に大きな拍手を送ることができました。
このところの朝ドラは秀作続きです。次回も実力ある清原果耶主演ですから、期待が高まります。







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