『未解決の女 警視庁文書捜査官』
鈴木京香と波瑠という少し異色な女性コンビと、遠藤憲一や沢村一樹などの脇を固めるキャストが魅力で、録画してみました。 体育会系女性刑事を演じる波瑠はミスマッチですが、大森美香の脚本力とまわりの役者たちに助けられるかたちで、ドラマとしては様になっています。ただ事件自体の設定はかなり荒っぽく、鈴木京香の文書読解力を活かすための装置に過ぎないため、同じ未解決事件を扱う『シグナル』とはまるで雰囲気が異なります。朝ドラキャストが多いせいもありますが、朝ドラのように軽く楽しめます。 『わろてんか』で鈴木京香と遠藤憲一の共演シーンはあったかな? 『あさが来た』では姑と婿の設定だった工藤阿須加と波瑠が同期。『ひよっこ』のお父ちゃんもずいぶん性格がいやらしくなりました。…など思うにつけても、朝ドラってなにげに出演者が豪華なんだな。 『あなたには帰る家がある』 「おばさんのミスは笑えない」-(゚ロ゚)→グサッ このひとことは効いた…。 設定の年齢は真弓と変わりませんからね…。 しかしこのドラマの主題は心の通わない二組の夫婦。自分と重ねると気持ちが沈んでいきそうなので、あくまで創作物として楽しむことにしています。 玉木宏の顔しか取り柄のなさそうなダメ父っぷりは見事。千秋先輩もこういう役をやるようになったのだなあ、としみじみ。 それ以上に見事なのが、ユースケ・サンタマリアのサイコパス夫と木村多江の魔女っぷり。ユースケの怪演は『火の粉』の不気味さを思わせます。茄子田家の食卓にバウムクーヘンが並んでいたらどうしようかと思いました。そして薄幸女を演じさせたら木村多江の右に出る者はいません。そしてあの悲し気な瞳で男にすがる時の色気といったら。そりゃ妻に辟易している夫なら一撃必殺です。ただ、本当に悪気がなく秀明に接近しているのかどうか。茄子田家のような家は昭和どころか平成も終わろうとしているこの現代にあっても、決してめずらしいものではないのかもしれませんが、あんな傲慢な夫にかしづいておとなしく言いなりになっているのも、何か理由があってのことだと思うのですよね…。終始妻がキャンキャン吠えている佐藤家との対比であったとしても、どこか極端すぎて、単純に受け止められません。そして現代っ子であるであろう息子は黙って食卓に座っていますが、心中どう思っているのかもなんとなく気になります。佐藤家の娘はその点、父親にも肯定的で愚痴る母親を諭していましたが。 原作が恋愛小説に定評のある山本文緒だけに、どんな展開が待っているのか想像もつきません。 『ブラックペアン』 『半沢直樹』チームのドラマの長所は、勧善懲悪で展開がわかりやすいところ。一見極端すぎるキャラクターも、物語のスピード感で気にならなくさせてしまいます。しかしこの作品は今までと少し様相が異なります。どうも主役の渡海は純粋な「善」ではない模様。渡海と対立関係にある高階も、過去に因縁がありそうな佐伯教授も、あっちこっちに顔を売りまくる女狐のような治験コーディネーターも彼を取り巻く人間は腹黒ばかり。唯一裏表のない世良もまだ研修医で半人前ですから、生命を救う病院という場において絶対的「善」たりえる存在ではありません。金に汚い渡海がいかにして「善」となり、どの「悪」と戦うことになるのか。『チーム・バチスタ』の海堂尊らしいあっと驚くラストが待っていそうです。 竹内涼真や小泉孝太郎のような長身俳優と並ぶとどうしても見劣りしてしまうニノ(しかも役作りで猫背)ですが、その存在感はさすが。手術時の手さばきも、感情を排除したセリフまわしも、中身をつかめない渡海という人間をより魅力的に見せています。医療に対し高い理想を持って向き合っている世良からすれば、命を金でやりとりするような渡海のやりかたはとうてい受け入れられるものではないのでしょうが、なぜ渡海がそのような医師になったのか、秘密は医療ミスを示唆するレントゲン写真にあるようです。あれは誰のレントゲンなのか、渡海に米を送る母親はどのように展開にかかわってくるのか。 毎クールいろんな医療ドラマがありますが、この作品はひさびさに緊張感をもって楽しめる医療ミステリーになりそうです。 PR |
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