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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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熱闘、終幕。
今年も心震わす夏でした。

まさかまさかの、天理の快進撃。
前評判では下回っていた初戦の大垣日大戦を完勝すると、関西勢同士の対戦となった神戸国際大付属戦を延長の末もぎとり、明豊との乱打戦も制してベスト4に進出しました。
準決勝の相手は広陵。注目された中村選手相手に真剣勝負を挑むも、完敗。最終回、3点差まで追い上げる天理ナインに、アルプスで不動の応援団長が涙する姿には胸を打たれました。27年ぶりの決勝はならなかったものの、伝統校ここにありの見事な戦いぶりを見せてくれました。中村監督と天理野球部のさらなる活躍、期待しています。

組み合わせ抽選の妙で、第4日に好カードが固まりました。従来の日程では平日の開催だったのですが、順延のため(おかげ?)祝日に。甲子園はなんと朝の6時半に満員札止めになるほどの盛況ぶりだったようですが、満員の観客も大満足の熱戦ぞろいでした。
優勝候補の中京大中京と横浜が同日に敗れる大波乱。その中京に勝った広陵は、横浜に勝った秀岳館を倒して決勝まで進むこととなりました。興南-智辯和歌山も序盤の6点差をひっくり返す大逆転劇。つくづく贅沢な一日だったと感じます。

大会でも個人でも最多ホームラン記録を更新した大会でしたが、9回のドラマが多かったことも印象的でした。同点ホームラン、逆転サヨナラ。夏に賭ける強い気持ちに呼び寄せられるかのように、思いがけない奇跡が高校野球には起こります。
「あきらめない」、どれだけ突き放されようと最後までその気持ちを持ち続けることを教えてくれたのは、2009年の決勝、日本文理による追い上げ劇でした。
新潟だけでなく日本中に感動を巻き起こした日本文理を率いた大井監督は、2回戦の仙台育英戦をもって勇退となりました。栃木から何の縁もゆかりもない新潟に移住し、新潟の野球を、意識を変えた大井監督の功績ははかりしれません。敗戦に肩を落とす選手をたたえつつ、名将は最後まで笑顔で甲子園を去りました。

決勝はどちらが勝っても初優勝となる、広陵ー花咲徳栄。
ちょうど10年前、佐賀北の前に屈した中井監督の悲願はなりませんでした。強豪校との激戦を経て、疲弊は顕著でした。一方、複数の好投手と破壊力ある打線を備えた徳栄に、隙はありませんでした。終始広陵を圧倒し、埼玉に初の栄冠をもたらしました。ダークホース、というと失礼かもしれませんが、花咲徳栄と広陵の決勝カードは予想できませんでした。しかし、その意外性こそが一発勝負の甲子園の醍醐味。最後の最後まで、目の離せない大会となりました。

プロ注目の早稲田実・清宮選手が西東京大会で敗れ、なんとなく話題不足で始まった今大会。しかし甲子園とは、新たなヒーローを発見することができる特別な場所なのです。それは中村選手だけではなく、見る人誰もがそれぞれに見つけ、それぞれのヒーローを追いかけたことでしょう。

それぞれの心が、それぞれの夏を記憶した99回目の甲子園。
100回記念大会となる2018年は、どんな奇跡に出逢えるでしょうか。



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