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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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雨が土砂を押し流し、灼けつく日差しにさらされて、
嵐が過ぎ去ったかと思えば、地が揺れる。
ひと息つく間もなく、日本列島は自然災害に見舞われ続けています。

台風を知らずに生きてきました。
第二室戸台風の話は母から聞いていました。海と川に囲まれた母の家は、両方から押し寄せた水によってあっという間に一階の屋根まで浸水し、あの時の恐怖は今でも忘れられないといいます。
台風はいつも大阪を逸れていきました。学校が休みにならないことが不満でした。台風のニュースが流れていてもそれはどこか遠い場所の話で、母の話も同じ大阪のこととは思えず、映画かドラマのように非現実的なものでした。
その第二室戸と同じコースでやってきた今回の台風21号。電車が止まり、梅田の百貨店も早々に休業していたその日、いつもと変わらず出勤した私の携帯は、避難情報をしらせるエリアメールで朝からひっきりなしに鳴り続けていました。もちろん私だけでなく、職場のあちこちで一斉に、あるいは時間差で大音量が響いていました。
「いつもと違うぞ」と感じたのはお昼過ぎ。ガタガタガタ…と窓ガラスが揺れ始め、明かりは頻繁に明滅しました。押し戸の非常口も風で開いては閉じる自動ドア状態。家は雨戸を閉めベランダも片づけてきたので問題はありませんが、古い実家が心配です。
二時間ほどで風はやんだものの、退勤時間になって外に出てみれば光景は一変。自転車は倒れているし、落ち葉や木の実が道のいたるところに散らばって、どこから飛んできたのか見慣れない波板が家の敷地内に転がっていました。奈良でこれですから、暴風圏の中心に近い大阪はどんな酷い目にあっているのだろうか。
あわててテレビをつけると、倒れた電柱、吹き飛んでいく屋根、浸水した関西空港の映像が。目を疑いました。沖縄や四国など台風の影響を受けやすい土地の被害ならニュースで見てきたけれど、これが本当に住み慣れた大阪の映像なのかと。
幸い実家は無事でしたが、近くのアパートの屋根が飛ばされたそうです。母の実家は高潮の被害こそなかったもののしばらく停電になり、府内とくに南部で多くの地域が停電に見舞われました。

停電も関空も復旧しないうちに、報道は北海道胆振東部地震に切り替わりました。
何も知らずに朝起きてテレビをつけると、目に飛び込んできたのは土砂に埋もれた集落。一瞬、いつの台風被害のVTRかと思うほどの、立て続けの衝撃的な映像でした。山の麓の土砂崩れ、札幌市内の液状化現象、大規模停電、機能を止めた新千歳、対応に追われる役所の職員。関西でもまだ混乱が止み終わっていないというのに、今度は北の大地で別の自然災害がその猛威を振るいました。

西でも、東でも。田舎でも都会でも、この日本のどこにいても自然の脅威からは逃れられない。外国の人からは「もう日本には行かない」と言われました。「どうしてそんな土地に住んでいるの?」とも。
太古から、日本はおほなゐと野分の国でした。この平成の世になってさえ、数多の自然災害が多くの命を奪い、深い爪痕を残していきます。
大切な人やものを失う悲しみと苦しみは、昔も今も変わりません。
そんな思いを未来に残さないために、人びとは知恵をこらしてきたのですし、科学は発展し続けるのです。自然を前にすると人間の無力さに時には絶望するけれど、「危険な国」日本だからこそ、できることがきっとあるはず。

もちろん、ひとりひとりにも、できることはきっとある。

いつ何が起きるかわからないこの日本。その状況に置かれた時に、最善の行動を取れるよう備えを忘れないようにしなければ。
ラジオは電池が液漏れしていて使いものにならなくなっていたし、リュックの中は水も板チョコも賞味期限をはるか過ぎていて、もう飲んでいない薬まで入れっぱなし。印刷していた地図は前の家のまま。すぐに気をゆるめて定期点検しなくなっていた証拠です。
明日のことなんて誰にもわからないけれど、モノも心も準備だけは忘れずに。







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