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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『不適切にもほどがある!』
SNSやテレビ局の在り方など現代における諸問題に対して決して押しつけがましくも説教くさくもならずに思いを伝え、笑いの中にホロリと泣けるエッセンスを巧みに混ぜ込む、さすがクドカンだな…と唸らされました。
自分は昭和生まれですから、昭和の良いところも悪いところも知っています。スマホをいじりもうこれがない昭和には戻れないとその便利さにどっぷりつかりつつ、スマホがあることで得た自由もあれば、不自由もあるとしみじみ感じます。今まで触れることもなかった世界を知ることができる一方、知らなければ良かったことまで知ってしまうこともそのひとつ。
昭和と令和、どちらが正しいという答えはありません。ただ、どんな時代を生きる人にも大切なのは、周囲に寛容であること。クドカンはいつも強烈なキャラクターや突拍子のない展開を描きながらも、大切なメッセージを最終回まで取っておき、最後に切なくもあたたかい余韻をもたらす。ズルさすら感じる脚本家です。
そして回が進む中で、主人公とその娘が阪神・淡路大震災で命を落としているという衝撃的な事実も明かされました。生きることも死ぬことも人の力ではどうにもならないという死生観は、クドカン作品において重要なファクターになっています。未来を変えるのではという考察もされる中、幾千もの命が失われた事実を雑に扱わないクドカンはさすがでした。
キャストの愉快なかけ合いや豪華なミュージカルシーンは毎週楽しかったです。


『ブギウギ』
朝ドラにありがちな中だるみ期間もなく、あっという間に感じた半年間でした。
スズ子は愛助を失い、父を失い、それでも歌い続けました。そばにいる、大切な人のために。
スズ子の歌はいつも愛子を守り、パンパンの女性たちを救い、古き友を支え、若者を奮い立たせる、そんな力がありました。
最初は懐疑的な目で見ていましたが、いつしか物語にのめり込み、週末のステージを楽しみに待つ自分がいて、すっかり夢中になってしまっていました。
趣里は白眉でした。歌もダンスも、説得力がありました。終盤の「オールスター男女歌合戦」で、趣里が披露した『ヘイヘイブギー』は圧巻でした。対抗心を燃やして『ラッパと娘』をカバーした水城アユミの心をへし折るには充分でした。もっともスズ子には張り合う気持ちは毛頭なく、アユミの気迫あふれるステージに感化されて失いかけていた歌への情熱を取り戻し、ハッピーとラッキーを日本じゅうに届けたにすぎません。ただそれは積み重ねた経験と歌が好きという強い気持ちがなければ成しえません。年末のトリを飾るにふさわしい、誰の心にも深く記憶として刻まれるであろうしあわせな時間でした。歌への、そして愛子への愛を高らかに歌うスズ子、ステージを目の当たりにしてそれぞれ思いを馳せる人びと、表情だけでくみ取れる演出も素晴らしかったです。なぜ趣里が紅白歌合戦に出場しなかったのか、なぜ当初『ヘイヘイブギー』が子守歌でしか歌われなかったのか、すべてはこの回のためだったのだなと得心が行きました。
歌をやめる決断をし、羽鳥先生と思いのたけを打ち明けあったスズ子。たった半年でも、ふたりの絆は日々の積み上げでした。草彅剛の浮世離れ感、強い意志を感じる目線は、第二の主人公と呼べる存在感がありました。趣里と草彅剛のふたりの作品だったといっても過言ではありません。
音楽を扱った朝ドラは権利関係で再放送が難しいと聞きますが、ぜひ近いうちにもう一度最初から堪能したい(できれば記憶を消して)、そんな物語でした。






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