『六本木クラス』
リメイク元である『梨泰院クラス』は未見のため、純粋に楽しんでいます。 どこまで大元に忠実なのかはわかりませんが、復讐劇という大仰な設定や絵に描いたようなアホボン(なぜ大雨の中病室抜け出してポテチ?)、男女問わず暴力的なところなど、ツッコミどころは枚挙に暇がありません。ですがドラマというのは現実逃避の手段ですから、その非現実っぽさが逆に魅力なのかもしれません。現にストーリーに入り込んでしまっていますし。 主人公・新や恋の相手である優香、新の敵である長屋の面々の造形は実にオーソドックスですから、それだけでは物足りません。キーパーソンは葵です。 平手友梨奈は欅坂のセンターで失神しているところしか知りませんでしたが、うまく個性派女優に転身できたのだなと感心しました。葵は帰国子女でIQ162のインフルエンサーで常に世界を俯瞰しているようなキャラですが、そのつかみどころのなさはアイドルの持つ二次元的な空気感と重なる部分があるのかもしれません。その一方で、新に恋心を抱き『二代目みやべ』の発展に尽くし、優香に嫉妬する等身大の純粋さも伝わってきます。三角関係のゆくえももちろんですが、今後の葵が画面の中でいかにその魅力を振る舞うかによって、このドラマの良し悪しが決まってくるような気もします。 余談ですが、web漫画サイトで韓国漫画を日本版に翻訳した作品を時々見かけます。地名や名前は日本風に直しているのに背景が韓国風なので途中で気づくのですが、別に日本が舞台のように変更しなくても…とつねづね思っていました。ドラマは漫画と違っていちから制作しているはずですが、長屋社長の衣装や社長室の雰囲気が韓国風なのは少し違和感があります。唐揚げが目玉の居酒屋チェーン店なのに…。 『ちむどんどん』(承前) 子役時代とまったく別のドラマを観ているようだ…。 どーしてこーなった、と言いたくなるほどです。 天真爛漫と傍若無人をはき違えるヒロイン・社会性ゼロのヒロインを無条件で応援する周囲の人びと・成長のあとも見せずなんだかんだで夢をかなえちゃうヒロイン・金曜にはうまいこと解決するトラブル・都合よく去っていく当て馬たち…という、朝ドラあるあるながらあってほしくない展開全部が詰め込まれております。 同じ脚本家の『マッサン』も主人公ふたりの名演に誤魔化されがちですが、あのふたりでなかったら苛立つ展開はちょいちょいあったよな…と思い出されたものの、ここまでではなかったです。 沖縄本土復帰50年の記念作品のはずですが、もはや沖縄は関係ありません。ここにきてようやく両親の過去が語られましたがもっと時間をかけて語られるべきエピソードのはずですし、遺骨収集に尽力する老翁を演じた津嘉山正種の台詞にはさすが深みがあったものの、ワンシーンで終わってしまいました。沖縄の戦後を舞台にするのはいろいろオトナノジジョウが絡んでいそうだし、正面からじっくり描くのは難しかったのかな…と好意的に推察しておきます。 というわけで、朝の支度をしながらながら観しているので、気がつけばプロポーズが済んでいました。とはいえ成就までまだひっぱるつもりのようですが…。記号的な障壁として起用したなら鈴木保奈美の無駄遣いだよなあ…。 黒島結菜も宮沢氷魚も悪くないのに。すべてがもったいない限りです。まあ、ながら観で最後まで観るのですけれど。 その前の時間に再放送している『芋たこなんきん』のほうがよほど面白いです。リアルタイムの頃は朝ドラ視聴の習慣がなく、評判が良かったのでずっと観たいと思っていました。 これといって何も起きないし、演出もいかにも昔の朝ドラらしいオーソドックスな雰囲気なのですが、なぜか面白いのです。キャストの年齢層が高いので安心して観ていられることもありますが、子どもたちもそれぞれキャラが立っていて魅力的です。何より、藤山直美と国村隼のふたりが実に良い。常に会話を欠かさず、といってベタベタした慣れ合いはなく、お互いに深く理解を示し立場を尊重し互いを良い方向へ導き合っている姿勢はまさに理想的な夫婦の姿です。若いヒロインが成長して、恋をして、結婚して…という朝ドラの既成概念を15年前にすべて破った作品があったとは、驚きです。現在と少女時代を行き来した作りも斬新でした。 そして国村隼って、どうしてああも妙に色気があるのでしょうかね…。 PR |
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