2017年が去ろうとしています。
39歳になった私は立派なアラフォー。 物心ついた時の母と同じ年代です。 子どもの頃思い描いていたオトナには、なれませんでした。 10年前、決意した「三十而立」どころか、 立っては転び、立っては転び。 今も、転んで起き上がれないまま、横たわっているようなもの。 「四十不惑」を目の前にしてもなお、「惑」ってばかりの毎日。 「僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる」 そんな言葉に刺激を受けた青春はとっくの昔に通り過ぎ、 できた道を耕すはずの朱夏も終期に入り、 実りの白秋に移るはずが、 前に進むこともできずに後ろの道を振り返ってばかりいる。 人生が玄冬期「北」に踏み入るまで、およそあと20年。 この世に生まれ落ちて、春夏秋冬を経て、 命は後世に受け継がれていくけれど、私はもう物質的な種は残せない。 ならば観念的にでも、このちっぽけな人生に何かしらの意味を残すことはできるだろうか。 そのために生きている。 そのために生きていく。 そのために死んでいく。 PR
12/18 契約更改終了
保留した伊藤と松葉もこの日に契約、これで全員が無事ハンコを押しました。 伊藤は起用法に物申すところがあったようで…つくづく生き方が不器用な人間だなあと嘆息。そんなところも伊藤の魅力っちゃ魅力なのですが。もちろん、言いたいことはわかります。それほど今年の伊藤に対する扱いは見ていて歯がゆいものがありました。来年は捕手一本で勝負できるのか…はわかりませんが、伊藤の奮起に期待します。 あと気になるのはFAを控えた西の単年契約。今年の成績で複数年はうんぬんかんぬん、という球団の言い分もわからなくはないのですが、西は心中穏やかでない様子。ちゃんと意思疎通できていたのかね? 12/22 平野、ダイヤモンドバックスへ 平野のメジャー契約が決まりました。 2年600万ドルと決して大型契約ではありませんが、Dバックスはいちばん最初に声をかけてくれた球団だから決めたとのこと。オリックスにも感謝の気持ちを述べてくれて、最後まで平野らしい実直な姿勢を貫いてくれました。 去年の今頃は、まさか平野がメジャーに行くなんて考えもしませんでした。 WBCに出場していることすら、想像もしていませんでした。 もし大谷が辞退していなければ、平野は来年も当然のごとくオリックスのユニフォームを着ていたわけです。 ホント、運命ってわからんもんだなあ。 12/22 勝負の3年目へ ポンタ、契約更改! 誰よりもうれしい契約更改! しかし中の人の体力問題により、来年はカード初戦のみの更新になるようです。 そりゃ、1試合につき3パターン(試合前・勝ち絵・負け絵)×143試合じゃ、疲れますよね。ネタもなくなってくるし。世間的にも注目度が上がっているし(2017年にツイッターでもっとも使われたハッシュタグのスポーツ部門に「#bs2017」やら「#オリックス」やらが入っていたという驚愕の事実が)。 来年こそは、ポンタの「んほー!」ではなく「おりほー!」連呼が聞きたいです! 12/28 オリ姫路線変更? これって… 増井の入団後は(も…)これといって話題のなかったオリックスですが、なぜかここに来て怒濤の結婚ラッシュ。いや、正確には結婚判明の報道ラッシュ。 え、駿太結婚? しかも三ツ俣のツイッターでフライング? おまけに子どもがいるだってえ!? …まあ、深く追及すまい。しかも来年から後藤名にするってよ。SYUNTAユニどうするよ。 なに、伊藤も結婚? しかも「していた」? い、いつの間に…? えええ、山岡まで結婚だとぅ!? 高卒社会人1年目で結婚とは、早いなあ。でも中学生の時からの彼女ととは微笑ましい。G田口といい純愛路線やね。こういうの好感度上がります。 いわゆるイケメン枠のオリ姫要員が次々卒業。ワタクシはオリ姫ではないのでどっちでもいいんですが、独身の人気選手が結婚するとファンが減るのはバレンタインのチョコ数の報道を見ても顕著な現象でありますので、こりゃ来季から営業面で大きなマイナスになると思われます。伊藤と駿太のオマケみたいなイケメン要員の武田や小田はまだ活躍度が低いし、山岡がその枠に入ると思っていたのにもう対象外だし。 これはまさか、「脱・オリ姫」への布石か? も、もしや、復帰が噂されているあのお方がオリ姫やら何やらイベントでチェックユニ着てファンサービスするとは思えないし、支障のタネは取り除いておこうというアレか…? ま、まっさかなあ~( ゚∀゚)アハハ八八 ・・・。 ま、あのお方が日本球界に復帰すること自体ありえないと思っているのですがね。球団の首脳陣は期待値マックスのようですが、本人にその気はないでしょうし。個人的には、日本でプレーする彼を見たくないんです。松井秀喜も同様ですが、やっぱり向こうでもレジェンドになっちゃったから。しかもウチなんて…Aクラスになっても4位になっても世間の扱いは万年最下位、今や12球団でいちばん低迷期の長いウチで…そんな、恐れ多い…。 12/30 中居くんのプロ野球魂&2017おもひで 毎年末楽しみにしているこの番組、金子ちーちゃん登場。クジ運弱いなあ…。 個人的にはプラスワン枠で山本由伸がクローズアップされたのがうれしかったです。金子は同じチームでいつも見ているからわかるけれど、山川&近藤組も選んでくれたとは! 来年は期待しちゃうよー。潰さないでおくれよー…。 で、今年もあと2日。 毎年振り返っていた「おもひで」を、2017はする気になれませんでした。 しょっぱなからモヤモヤ~な試合が続き、終始モヤット感が拭えなかったシーズン。 いいこともたくさんあったはずなのに、勝っても負けてもモヤットなおもひでしか残らず…。 なんだかなあー!(←阿藤快風) 来年はこのモヤットを吹き飛ばす快進撃、期待します。 ポンタみたいに毎試合追いかけるパワーがあるかどうかわかりませんが、引き続き生温く見守っていきたいと思います。
『おんな城主 直虎』
とりあえず、無名の女性が主人公の大河ドラマはこれを最後にしてもらいたい。 これはぎりぎり賛辞です。森下佳子の脚本は歴史の空白の埋め方が素晴らしかったです。一般的に知られているいわゆる史実を逆手に取るようなアレンジにも、決して歴史を冒瀆しない真摯な姿勢は感じました(姿勢は)。 それで一年もったようなものです。森下佳子ほど腕のある脚本家はそうそういませんから。 あ、あと政次もいましたね。これも高橋一生の演技力あってこそです。すっかり高橋一生=政次が定着してしまって、『わろてんか』のクールキャラは二番煎じ的ガッカリ感満載です。壮絶だった「嫌われ政次の一生」は胸に迫る良回でした。 政次に食われた直虎は終盤まで軽さがあって、なじめませんでした。農婦になってからはやや落ち着きを見せましたが、主人公だからといって歴史の中心に絡める必要はないわけで。徳川家で奮闘する万千代パートでがぜん勢いが出ただけに、直虎が出てくると不自然さが際立ちました。いっそのこと、前後半にわけて『直虎』『直政』にすればよかったのに。関が原や大坂の陣の直政も見たかったです。 ともかくも、「成功」と言ってもよいクオリティだったのですから、女性主人公企画はこれで〆にしたほうが良いと思います。数年前のむごい記憶があるだけに、この成功がいつまでも続くとは思えないので…。 来年は『西郷どん』。これも中薗ミホ脚本と聞いて不安がいっぱい。歴史ものになじみのない女性脚本家に幕末の薩摩という複雑な地域を書かせて本当に大丈夫なのか? もう二度と幕末を愚弄してほしくないのだが…。 『陸王』 ベタベタな展開とわかっているのに泣かされる…。「我々はコレ(半沢直樹風)を貫くのだ!」という制作側の姿勢が一貫していて、視聴者側に媚びないポリシーが伝わってきます。 今回も小藪や松岡修造という俳優以外の芸能人を主要キャストに持ってきましたが、拙い演技もそこまで影響ありませんでした。小悪党な小藪に心は熱い成功者の修造、という、演者のイメージを損なわないキャラクターだったからでしょうか。とくに修造は意外にハマっていて驚きました。顔芸もできていたし…まあ、普段の熱血キャラも多少作っているところはあるのでしょうが…。阿川佐和子もまったく違和感ありませんでしたしね。 なんといっても驚いたのは一流ランナーの茂木を演じた竹内涼真。『ひよっこ』の慶応ボーイのイメージしかなかったのですが、いやー、カッコよかった。あんなマラソンランナーいたら夢中になって追っかけちゃうであろうくらい、惚れた。元サッカー少年だけあって、ランナーの体のつくり方はばっちりでした。青山学院の原監督が指導という贅沢な環境でフォームも完璧。同僚が箱根ランナーの和田正人や吉本のマラソン芸人だったり、ライバル役が芸能人スポーツ王の佐野岳だったり、駅伝やマラソンシーンの大規模ロケといい、連ドラとは思えないリアリティでした。銀行や企業の描き方を誇張させるかわりにスポーツ場面をこだわるという制作手法がいつも面白いです。『ルーズヴェルト・ゲーム』も野球部員たちの造形が細かかったですし。 それまでシューズなんてほとんど気にしていなかったのですが、こういうドラマもあるのですね。 ニューイヤー駅伝や箱根駅伝は、靴にも注目して見てみようと思います。 『わろてんか』(承前) 大阪は特殊な土地です。東京と対比して否定したり肯定したりする企画番組はあざとくて鼻につきますが、文化面・経済面において独自色の強い発展を歴史的に遂げてきたことに変わりはなく、大正・昭和期においてもその雰囲気は独特であったと思います。 だからこそその土地を知らない人間に、これまた大阪独特の「笑い」を中心とした大阪文化を書かせるべきではなかった、と強く感じます。渡辺あや(『カーネーション』)や藤本有紀(『ちりとてちん』『ちかえもん』『夫婦善哉』)など、今までNHKで大阪を上手に表現してきた脚本家がいたにもかかわらず、なぜ東京出身の脚本家にオファーしたのか、理解に苦しみます。 もっとも私が大阪人であるからこそ、よけいに感じるところなのかもしれませんが。 このドラマは吉本せいの出自とは大きく異なっているらしいと聞いて、同じく吉本せいがモデルの小説『花のれん』を購入しました。山崎豊子独特の硬質な筆致の中にも主人公多加の逞しさ、エネルギーを感じて、一気に読んでしまいました。同じようにせいの弟で実質吉本を運営していたという林正之助の存在を消すなら、これを原作にしたらアカンかったのか? ダメ夫に先立たれたり、男尊女卑の時代における女主ならではの苦労だったり、『カーネーション』で描かれたテーマと被るところが多く、これをベースにしても問題なかったと思うのですが…。 夫婦力合わせての成功譚にするならば、藤吉をもっと魅力ある人間にしないと意味がありません。水木しげるのような才能(この場合商才)もないし、マッサンのような情熱も感じない。松坂桃李でなく濱田岳がこの役であれば、まだどちらかに振り切らせて愛嬌も出たでしょうが…。松坂桃李の演技力だけの問題ではなく、彼を相手役にした企画自体がダメです。 当時の風俗や文化の描写が拙く、入り込めない薄っぺらさと、矛盾ばかりの展開に辟易していたうえ、「たった一年でてん実家への借金を返せました」という無理無理展開にはいいかげんうんざりして脱落しかけましたが、なんとか見続けているのは、団吾&団真&お夕のそこだけドラマらしかったエピソードあればこそ。こちらの展開にもかなり矛盾がありましたが、三人の演技力のおかげでうまくごまかせていました。北村有起哉は『ちかえもん』でも見事な義太夫を披露していましたが、落語もかなりのクオリティでした。また出てきてほしいなあ。 ともかくも小屋の経営が安定してきて、ようやく話が落ち着いた感があります。年末ラストは『花のれん』でも描かれていた安来節の流行が取り上げられましたが、不倫(ぽく来年にひっぱっておいて、絶対にそうならない)を絡めてくる必要はなかろうに。 てんを演じる葵わかなちゃんの奮闘が報われるドラマになってほしいと思います。
いよいよ、今年を締めくくる全日本フィギュア、開幕です。
来年の平昌オリンピックの出場権がかかったこの大会、始まる前からドキドキが止まりません。 全員の笑顔が見たい、でも誰かの悔し涙はあるわけで…。 《女子シングルSP》 たった2枠をおよそ7人近くが狙う熾烈な争い。宮原・樋口両選手が一歩リードかと思われましたが、SPのトップを取ったのは、現在昇り龍の勢いを誇る坂本花織選手でした。 アメリカ大会で2位に入り、調子は上昇カーブを描いてはいたものの、ここまで点数をたたき出すとは正直、思いもしませんでした。ジャンプ技術はジュニア時代からトップクラスで、スピード感もスケール感もシニア1年目とは思えない質の高さですが、それに加えてアメリカ大会で得た自信に満ちあふれていました。滑りには関係ないものの、点数が出た時のリアクションやインタビューから垣間見えるキャラクターも好感が持てます。 2位はさすがの宮原知子選手。緊張からかややジャンプに精彩を欠きましたが、密度の高いステップはいっそう洗練されていて、フィニッシュまで魅了されました。 3位は本郷理華選手。最初のジャンプは高さがあり、そこから波に乗りました。手足の長い本郷選手に『カルミナ・ブラーナ』の情熱的でダイナミックな音楽はぴったりで、振り付けも際立っていました。彼女がこれまで歩んできた苦しい道のりを、観客はもちろん知っていました。フィニッシュを待たずして次々に立ち上がり贈られた惜しみない拍手。ソチ以降、宮原選手とともに日本女子を牽引する存在でした。FSも本郷選手らしい、ドラマチックなプログラムです。悔いのない演技をしてほしいと思います。 優勝争いは固いと思っていた樋口選手は、冒頭のジャンプで痛いミスが出ました。坂本選手が高得点を出しただけに、よりプレッシャーを感じていたのでしょう。しかし後半のジャンプでひきずらなかったのはまだ折れていない証。失うことを怖がらず、最高のボンドを演じてほしいと思います。 ジュニアながら最終グループに食い込んだのは紀平梨花選手。見事なトリプルアクセルでした。数十日単位で年齢制限にかかり平昌の出場資格がないところも、トリノの時の浅田真央さんを想起させられます。シニア参戦が楽しみな選手です。 オリンピック争いから後退してしまったのは、本田真凛選手、三原舞依選手、白岩優奈選手。白岩選手は宮原選手の、本田選手は本郷選手の直後でふたりとも少し動揺や緊張があったでしょうか。白岩選手は転倒あり、本田選手は独特の雰囲気を醸し出せる選手ですが個性が少しかすんで見えました。 宮原・樋口・三原の三つ巴と見られていた三原選手も、今季のGPSの不調を取り戻すことはできていませんでした。せっかく3-3を決めたのに、2Aの転倒からみるみる覇気を失ってしまいました。大人プロな『リベルタンゴ』はオリンピックに向けた勝負曲だったのでしょうが、柔らかな雰囲気を持つ三原選手にはここに来てもやや背伸びに映り、やはり世間で評されているように選曲ミスだったのでしょうか。しかしFSで盛り返し2枠を勝ち取った今年の世界選手権も記憶に新しい、「フリーの三原」です。大逆転をあきらめず、挑んでほしいと思います。 《男子シングルSP》 羽生選手が欠場したものの、オリンピック選出は間違いなし。残り2枠のうち、宇野選手にも当確ランプ。残るひとつの椅子をめぐり、無良崇人・田中刑事・村上大介選手ら世界戦の経験豊富な中堅選手が火花を散らします。 しかし、最初に会場を沸かせたのは山本草太選手でした。 ジュニアで輝かしい成績を残し、4回転もマスターして、将来を嘱望された選手でしたが、シニアに上がった昨年、度重なる大怪我に見舞われました。ようやく全日本の舞台に帰ってきた山本選手は、恐怖心もあったであろうに、予定構成からジャンプの難度を上げ、本番で成功させました。美しいスケーティングも流れるようなステップも健在。本人が思い描いていたオリンピック代表戦の内容では決してなかったでしょう。それでもリンクに帰ってきた山本選手に、観客は総立ちでした。北京まで4年。決して短くはない道のりですが、山本選手のこれからが光り輝くように祈ります。 村上選手も昨年怪我に泣いたひとりでした。今季も肺炎でNHK杯を欠場し、ベストの状態とはいかないまま今大会を迎えました。ジャンプをひとつミスした以外は演技をまとめましたが、点数が少し伸びませんでした。 いっぽう、圧巻の演技を見せたのは田中選手。高くてクリーンなジャンプに迫力あるステップで会場を惹きつけました。緊張を感じさせない演技の大きさでした。村上選手に10点差をつけ、次に滑る無良選手にプレッシャーをかけます。 最後のオリンピック挑戦と意気込む無良選手ですが、今季はジャンプが決まらず結果を出せていません。このSPでも最初の4回転でミスが出てしまいますが、続くトリプルアクセルは2点台のGOEをたたき出す最高のジャンプでした。タップ音だけで魅せるステップは無良選手の真骨頂。田中選手に6点差とつけます。 そして争いとは別次元の場所で、ひとり自分と戦う宇野選手にとっては、モチベーションの維持が難しかったのではないでしょうか。めずらしい連続ジャンプのミスで得点を落としてしまいました。顔色も少し悪かったように見えましたが、コンディションは大丈夫でしょうか。それでも全日本連覇は揺るがないでしょう。羽生選手不在の優勝に本人がどれだけの価値を見出しているかはわかりませんが、FPではGPFで得た教訓を糧に、「別次元の演技」を見せつけてほしいと思います。 《女子シングルFS》 宮原選手が情感あふれる演技で逆転優勝。4連覇を飾り、オリンピック出場権を獲得しました。 いつも冷静で感情を表に出すことのない宮原選手ですが、演技後には渾身のガッツポーズを見せました。リンクの外では濱田コーチもフィニッシュと同時に顔を覆い、キス&クライでもその涙は止まらず、宮原選手がどれほど努力を積み重ねてこの日にたどりついたのかが垣間見える一幕でした。練習を始めてまだ二ヶ月のジャンプは完璧とはいきませんでしたが、それでも跳べない間に磨かれたスケーティングはそれを補ってあまりあるものでした。平昌のキス&クライでは涙ではなく笑顔のふたりを見られますように。 初優勝を狙った坂本花織選手でしたが、最終滑走の緊張もあってかアメリカ大会に較べると勢いに欠け、回転不足やエッジのアテンションもあって思うように得点が伸びませんでした。それでも大きなミスなく滑り切ったメンタルは見事です。大会前は圏外扱いだった選手が、まさかの表彰台。モスグリーンから真っ赤になった衣装もリンクに映えていました。 表彰台に上ればオリンピックをぐいっと引き寄せられた樋口選手でしたが、結果は4位。演技前の表情は落ち着いて見え、慎重に要素をこなしてジャンプミスをひきずらず最後まで滑り切りましたが、点数は自己ベストに及びませんでした。報道によると怪我を抱えていたようです。それでもフィニッシュ後にリンクをコンコンと叩いたのは、今のすべてを出し切ったというサインだったのでしょう。 これでオリンピックの残り1枠は、現時点で勢いある坂本選手か、実績の条件にあてはまる樋口選手のどちらかに絞られましたが、いずれにせよすんなりとはいかないであろう結果となりました。スケ連がどのような判断を下すのか…24日の結果発表を待つのみです。 SP7位から5位に上がった三原選手。この全日本でも、得意のフリーが輝きました。流れるようなスケーティングから天使のようにフワリと舞うジャンプの美しさ。至高の時間に酔いしれました。最後のサルコウを決めてのガッツポーズと、フィニッシュ後の涙にはこちらも感極まりました。FSでは3位の140点台をたたき出しましたが、SPのミスが痛かったです。 本郷選手は二度の転倒で順位を落としてしまいましたが、それでも情熱のステップは観衆を魅了しました。本郷選手の表現力は若手にはない唯一無二の武器。これからも本郷選手のいろんなプログラムを見ていきたいと心から思います。 本田選手は滑り出しから勢いがありませんでした。オリンピックを目標にやってきて、それをまだ試合中にもかかわらず見失ってしまった悲しさや混乱が演技からも伝わってきました。どんなに世界の舞台で戦っても、まだ10代の女の子です。メンタルの強さがいかに問われる競技なのか、あらためて感じさせられました。SP8位と出遅れた白岩選手ももともと選出には厳しい条件でしたが、FSでも転倒して悔しい結果になってしまいました。今後のスキルアップに期待です。 ジュニアながら3位に入った紀平選手。空気に乱されることなく、見事に加点のつくトリプルアクセル2本を決めました。まるで男子のように鮮やかなジャンプでした。このまま他の部分をブラッシュアップすれば、ロシア勢に対抗できる選手になりそうです。第3グループでは竹内すい選手がトリプルアクセルを跳び、横井ゆは菜選手が会場を沸かせ、紀平選手もあわせてジュニア層の厚さも感じる全日本となりました。 《男子シングルFS》 やはりひとり別次元だった宇野選手。公式練習で2A―4Tのコンビネーションに挑んでいたと明かされた時には耳を疑いました。そんな見たことも聞いたこともないジャンプを跳べる人間がこの世に存在したというのか? 結果は失敗でしたが、そのファイティングスピリッツには感服。ループやフリップの高難度4回転プログラムももはやあたりまえ、ミスはあったものの圧倒的大差で連覇を果たしました。オリンピックではどのような構成で金メダルに挑むのか想像もつきませんが、それにしても宇野選手がまさかここまで順調にトップ選手の階段を駆け上がるとは。4年前のソチ争いの最終グループでひとりあどけなかったあの少年が…全日本初出場の時にはタキシードの衣装が入学式のようだったあのチビッ子が…。実に感慨深いものがあります。…て、なんか親戚のおばちゃんみたい。 熾烈な2位争いを制したのは、後半の4回転を成功させた田中選手でした。緊張感は手に取るように伝わりましたが、それと同じくらいオリンピックにかける強い意思も感じました。それまでの選手に4回転の失敗や回避が続いていた中、絶対に決めなければいけないジャンプを降りきった瞬間、それはオリンピックへの道がはっきりと拓けた瞬間でもありました。 そしてそれは同時に、無良選手の道が閉ざされた瞬間でもありました。ジャンプが不調なこともあり構成を変えて確実な方法を選び、その計算は当たったものの、SPの点差が響きました。 渾身のオペラ座。気迫のファントム。ようやく見せてくれた、それは最初から最後まで無良選手にしか滑れないオペラ座でした。コーチでもあるお父さんとの抱擁、そして涙。どの選手にもここに至るまでドラマがあります。しかし無良選手がどれだけ長い時間オリンピックに向け戦ってきたのか、ファンは知っています。この日いちばんの拍手は、キス&クライで赤い目をした親子に降り注ぎました。 村上選手は万全の状態には遠く見えました。4年に一度のオリンピックに出場するには、タイミングという運が大きく作用することもありますが、村上選手にはそれがもっとも影響したように思います。数年前イキイキと滑っていた時の村上選手がここにいれば、と思わずにはいられません。村上選手の品があって丁寧なプログラムをもう一度見たい。そう願わずにいられません。 町田樹さんを見習ってあえてオリンピックと口にするようにした、と自分にプレッシャーをかけて今シーズンに挑んだ友野一希選手。シニア1年目での快挙には届きませんでしたが、町田選手のように心を惹く演技でした。4年後はきっとひとまわりもふたまわりも成長して、枠争いの中心にいることでしょう。 そして4年後の姿が楽しみなのは他にも。須本光希選手はJGPFから構成をあげたプログラムを滑りきりました。山本草太選手もショートに続いて復活劇を披露し、オリンピックには関係ないところで会場が拍手と涙に包まれました。客席では一緒に練習してきた本郷理華選手も涙を見せていましたね。女子に較べて話題が少なくなった男子ですが、ちゃんと未来へのバトンは受け継がれていきます。 表彰式後、出場選手が発表されました。 最後の名前が発表された瞬間、ひときわ大きな歓声が上がりました。スケ連の人もタメましたね~。 女子の2枠目は坂本選手でした。今大会の結果だけでなく、アメリカ大会2位の実績があったことも功を奏したでしょう。 羽生・木原・リード選手以外は初出場。団体戦も含めチームジャパンみんなが笑顔でフィニッシュを迎えられるよう、祈りを捧げたいと思います。 今年はとくに泣きつかれた4日間でした。 翌日のエキシビションはメダリストがクリスマスメドレーで楽しませてくれたいっぽう、惜しくもメダルに届かなかった選手の演技がひときわ心に残りました。 中でも樋口選手の『ハレルヤ』は気持ちが伝わりました。ジャンプを封印してのスケートでしたが、かつてジャンプとスピードで注目されたジュニア選手が、時を経てスケーティングを身につけオリンピックを争い、結果には届かなくてもしっかりとその足跡を見る者の心に残した。その事実は樋口選手の歩んできた道が間違っていなかったことの証明です。試合後のインタビューではまだ涙が止まりませんでしたが、4年後の新たな目的のために彼女はふたたび立ち上がるはず。たくさんのファンが見守っています。 それにしても、高橋大輔さん泣きすぎ。オリンピック選考会とあって平常心ではいられないんだろうな。解説者って難しそう。 あと生中継と荒川静香・本田武史両氏の解説とTESカウンターは本当に良かったのに、なぜエキシビションはク×(自主規制)になるフジテレビ。オリンピックはどこが中継するのかなー。
『アシガール』
原作が終わっていないのに最終回、タイムスリップの結末はどうなるのだろう? と危惧していたら、続編を示唆してのハッピーエンド。とはいえ、なかなかうまい終わらせ方でした。 このドラマの成功要因は、とにかく主人公がかわいかったこと。無謀な恋と知りながらもつい応援したくなる、唯のいちずさでした。ここまでアホの子に徹することができる黒島結菜ちゃんの熱演にあっぱれ。途中から走り方もさまになってきましたし、「振り切った」感もよく出ていました。 が、放送中にもっとも評価をあげたのは若君さま。最初は慣れない時代劇のせいか所作や台詞回しに固さがありましたが、ぐんぐん爽やかイケメンの若君っぽくなってきて、殺陣も見事な太刀さばき。「こりゃ唯も惚れるわ」なカッチョよさでした。健太郎という若手俳優をそれまで知らなかっただけに、現代劇が想像つかない…。それほど、平成にタイムスリップしてきた時の長髪制服姿がイケメンすぎました。 成之も憂いがあって良かったです。栄輔さんにはやはり陰を背負った役が似合う。原作の阿古姫へのプロポーズは唯の心の声と同様感動的だったので、同じ言葉で聞きたかったなあ。 成之母の設定や時間軸が前後していたエピソードなどの変更箇所も、原作を壊さず破綻しないように練られていて不自然さはありませんでしたし、小道具から所作指導までさすがNHKと思うほど細部まで丁寧でした。不満になりがちな漫画原作のドラマ化で、ここまで満足させてくれるとは思いもしませんでした。その前の『みをつくし料理帖』が不満タラタラだっただけに…。 続編の制作は、原作の最後を待ってからでしょうか。唯ちゃんと若君が大人になりきらないうちに、なるべく早く作ってほしいなあ。 あと、しょっぱい顔の小平太が見られなかったのも少し残念。来るべきこのシーンのために金田をキャスティングしたのではないのか!? え、違う? 『刑事ゆがみ』 弓神と羽生の凸凹ぶりで笑わせたかと思えば、事件の真相を知ってじんわり泣かせてくれる、硬軟取り混ぜた良質なバランスは最終話まで失われることはありませんでした。最後はそれまで謎の存在であったヒズミの正体と弓神の過去が2回に渡って描かれましたが、弓神・羽生コンビのバランスが崩れても、全体を通してスピード感と緊張感を保ったままラストの盛り上がりに持っていく作り方が素晴らしかったです。初回から最終回までまったく無駄な部分がなく、こんな良作はひさしぶりでした。 弓神と羽生はじめ、俳優陣の好演も質を高めるものでした。弓神の二面性ぶりを体現した浅野忠信や腹黒な羽生をいやみなく演じた神木隆之介はもちろん、すぐ手、いや足が出る高齢独身上司の菅能は稲森いずみであることを忘れるほどのかっこよさでした。毎回のゲストも一話のみの出演だけでは惜しいほど豪華。ラスボスがオダギリジョーというのも、文句のつけようがありません。それにしても、斎藤工に続いて、これ以上詐欺師が似合う男もいないリリー・フランキーまで脇の脇で使うとは…豪華にもほどがある。 それまであまりいい印象を持っていなかった山本美月も、色気を消してなりきっていました。最終回は泣かされました。 結局ヒズミは声を取り戻し過去を浄化したものの、横島は逮捕されることはありませんでしたが、続編なしでこのまま終わってもいいな、と思える爽快なエンディングでした。 『監獄のお姫さま』 最後までクドカンテイスト満載でした。結局、ほぼクリスマスの夜と回想だけで尺を費やし、「二、三か月経ったような気がする!」と監禁された伊勢谷友介がぼやく場面には思わず吹き出しました。 馬場かよが元やり手の銀行ウーマンに見えなかったり、晴海がオバサン側に転がる理由が薄く感じたり、随所に雑な部分は感じましたが、しかしそれらがどうでもよくなるくらいのパワーがクドカン作品にはあるのだと思います。 役者がイキイキしているのも共通項。おなじみのクドカン組は、クドカン脚本で演じる際のあうんの呼吸を心得ているのでしょう。 クドカン作品は『あまちゃん』くらいしか見たことがなかったのですが、2019年の大河もこんな感じのノリなのでしょうか。いったいどうなるのでしょう…「大河」というブランドは求めないほうがよさそうですね。 『明日の約束』 視聴率の低さでやや話題となりましたが、高校生の自殺、いじめ、家族間の確執というテーマがテーマだけに、仕方ないところです。 かつては子ども視点で感じていたそれらの問題を、今はあれほど疎んじていた大人の感覚でとらえるようになりました。 だから最終回で日向が生徒たちへ送った「生きて」のメッセージも、素直に受け取れました。 悲しみ、苦しみ、救い、喜び。日々重なるさまざまな感情を織り上げて、誰しもの生はある。圭吾の死と対比するかのように、子どもも大人も、全員のそれら生の日々を毎回丁寧に描いていたからだと思います。 そして圭吾がなぜ死を選んだのか、結局ラストまで明確にされなかったことも逆に効果的でした。誰かが死を選んだ時、なぜ、を追い求めがちになりますが、直接的原因があきらかになればそれでこの一件は社会的に落着してしまいます。圭吾が言葉で語らない――否、もう二度と語れない以上、圭吾にかかわったすべての人にとっては、圭吾がもうこの世にいないという事実以上に重要なことはありません。だからこそ、明日を生きていくための日向のメッセージは心に強く刻まれるのです。 もっとも、現実がドラマ以上に残酷であることも、否定しようのない事実です。かつては「死んではいけない」という論調で終わらせるドラマは薄っぺらいと感じていましたが、せめてドラマの中だけでも救いがあってほしいと感じるようになったのは、私がトシを取った証拠なのかもしれません。 |
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