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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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一週間の軟禁生活を終えて娑婆に帰ってきてみれば、いつの間にやら大晦日。

年越しそばだけかきこんで、なんとか紅白に間に合いました。

2018年が去っていきます。

いろんなことがありました。
世の中は多くの「災」に見舞われました。
明日のことなどなにもわからない時代なのだと思い知らされました。

そして自分のまわりには、多くの「病」が訪れました。
今日と同じ健やかな朝が来るとは限らないのだと思い知らされました。

昭和に生まれ、平成になり、やがて30年。
歳を重ねれば重ねるほど厚みが増すはずが、いろんなことが下り坂のように転げ落ちていく。
健康もそのひとつ。

2019年は、身も心も穏やかな日々を送れますように。


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平成最後の全日本。新星アリ、復帰アリ、今年も感動が盛りだくさんです。

《女子SP》
宮原選手が貫禄の首位。ジャンプはGPFからよく立て直したなと思います。国際大会で日本選手の後塵を拝することも増えたとはいえ、ジャンプも振り付けも年々精度を増しており、演技全体の雰囲気はやはり日本国内では圧倒的。ベテラン選手らしいパフォーマンスになってきました。
2位につけたのは技術点トップの坂本選手。いよいよシニアらしくなった演技に、追随を許さないジャンプの高さが加われば、昨年果たせなかった優勝も見えてきます。
3位は三原選手。やはりこういう柔らかな音楽が似合います。SP・FSそろえることができていればGPFにも出場できていただけに、全日本は雪辱の舞台となります。
怪我が心配されていた樋口選手ですが、ジャンプをすべて降りて僅差の4位。持ち味のスピードは欠いたものの、樋口選手にしか滑れない個性的なプログラムで観衆を惹きこみました。世界選手権を経て一皮むけたような印象があります。自分だけのスケートを手に入れたような、メンタルが強化されたとも言えるのかもしれませんが、日本では誰も見せたことのない世界を見せてくれる選手になりそうな予感がするのです。
靴のテーピングが合わなかったのか、紀平選手は5位スタートとなりました。がぜん注目を浴びてプレッシャーに潰されたとは思いたくないのですが…。GPFから日程も開かず、調整がうまくいかなかったのかもしれません。
3枠のゆくえはまだまったく読めません。

《男子SP》
羽生選手が欠場し、今年も孤独な戦いを強いられることになった宇野選手。衆目を一手に引き受けるかと思いきや、高橋大輔選手の電撃復帰によりプレッシャーは和らいだかもしれません。
6分間練習で足を痛めたという報道もありましたが、ジャンプは4T-3Tが4-2になった以外は完璧で、演技後はガッツポーズが飛び出しました。成功したらニコッ、失敗してもてへぺろで終わっていた宇野選手にしてはめずらしい感情の爆発でした。ライバルなしの環境とはいえ、今までとは違う心境で臨んでいたのだろうなあと感じます。
GPSに参戦していたシニア勢がのきなみ4回転に失敗し、2位には31歳の高橋選手がつけました。5年のブランクがあって試合に出ることだけでも驚きなのに、3Aをはじめジャンプを決め、さらに見る者を惹きつけるステップはなお健在。試合中継のゲストに出ていても、解説というよりは選手目線で感情移入して話している姿を見て、本田さんや織田さんのように解説に徹することは向いていないのかなと感じていましたが、まさか現役復帰するとは思ってもいませんでした。リンクに思い残すところがあったのか、このピリピリした雰囲気を味わいたかったのか、クルム伊達公子選手のように羽生・宇野をのぞく若手に活を入れたかったのか真意の程はわかりませんが、今はこの舞台で高橋選手が見られることに浸ります。
4位にかろうじて田中刑事選手がつけた以外は上位にジュニア選手が続きました。羽生選手は選出されるだろうし、宇野選手も間違いないとしても、世界選手権の残り1枠はいったいどうなるのか…。

《女子FS》
見ごたえのある優勝争いでした。とにかくひとつのミスも許されないという緊迫した中の最終滑走で、見事に演技をまとめあげた坂本選手が歓喜の初優勝。昨年も堂々と滑りあげましたが、較べると演技全体の差は歴然。この結果が世界での得点にもつながればいいのですが。
優勝最右翼と目されていた紀平選手は、わずかに届きませんでした。それでもシニア一年目にして演技中にミスをリカバリーするクレバーさには舌を巻きます。演技全体から漂う雰囲気ももはや貫禄さえあり、まだまだ成長途上にあることを思うと、これからどのような演技を見せてくれるのかそらおそろしくさえあります。
全日本五連覇を狙った宮原選手でしたが、若手の勢いに阻まれるかたちとなりました。さすがの宮原選手も緊張していたでしょうか。めずらしく大きなミスが出てしまいました。キスアンドクライでは点数が出た瞬間唇を噛みしめ、表彰式前では談笑していたかと思うとふと目をそらして真顔に。過去四年にはなかった、いちばん最初に名前を呼ばれる表彰式に、悔しくてたまらないといった表情に見えました。ミス・パーフェクトが感情に彩られた瞬間を見て、なんだかわくわくしてしまったのです。これからもまだ宮原選手は高みをめざして、前を向くはず。そしてもっと豊かな演技を見せてくれるはず。
三原選手は惜しくも表彰台に届きませんでした。天使のように見るものを幸せにしてくれるスケートでしたが、得点に結びつけるにはあと一歩なのかもしれません。樋口選手はやはり怪我の状態が芳しくないようでした。SPはとても良かったのですが…無理せず来季に切り替えてほしいです。
ただ、上位争いに絡まなくても、この全日本でいちばん心に残ったのは細田采花選手の3本のトリプルアクセルでした。
一度は引退を決めながら、紀平選手に誘われて練習するうち跳べるようになった3A。昨年はフリーに進めず披露できなかったそのジャンプを、今年はショート・フリーとあわせて3本、完璧に回りきりました。演技後の涙。悔いなく滑りきった満足感がこちらにも伝わってきました。あきらめないこと、続けること。それがいちばん難しいからこそ生まれた美しい涙でした。現役を続けるかどうかはまだこれから決めるとのことですが、細田選手の未来に光あるよう祈ります。

《男子FS》
宇野選手は最初のジャンプから本調子でないことがあきらかでしたが、後半から盛り返し、魂を感じる熱演となりました。演技後のガッツポーズからも、「宇野昌磨という生き方」というコメントからも、宇野選手の変化を感じます。こんなところまで羽生選手を追わなくても…という気はしますが、来年こそはふたりの火花散らす戦いが見たいですね。
そこに割って入るべき選手が結果を残せなかったことは少し淋しい結果となりました。田中選手はオリンピックからこのかた、辛そうな表情しか見られていません。世界選手権では納得の笑顔が見られるよう願います。
友野選手もフリーでは真骨頂ともいえる観客を惹きこむ演技で沸かせましたがジャンプミスが響き、今年自力で勝ち取った残り一枠を手放すことになってしまいました。
四回転を決めかつ演技全体の完成度をまとめないと戦えない時代。島田選手や鍵山選手、佐藤選手といった今後が楽しみなジュニア選手の登場や、山本選手の復活の四回転もありましたが、この大会話題をさらったのはなんといっても高橋選手。果敢に挑戦した四回転は失敗に終わりましたが、世界一のステップは健在、スピンはむしろ現役時以上に洗練されていました。ラストも体力的にきつそうでしたが、やはりショーで見る高橋選手と競技会での高橋選手が見せる表情はまったく違う。そこには、疲労困憊でも満足感、そして思うような演技ができなかった悔しさがありました。世界選手権は辞退するも、競技続行を宣言しました。もう二度とリンクに思いを残したまま降りたくはないのでしょう。本人が満足するまで、挑戦の日々を見届けたいと思います。

今年のフィギュアシーズンもこれで半分。
これ以上怪我なく、選手たちがシーズンを終えられることを祈ります。

『SUITS』
最後まで非現実的なカッコよさ・美しさが際立っていましたが、お話自体テンポが良くて、基本的に一話完結のなじみやすいリーガルものでした。
日本人俳優でもアメドラの雰囲気を残しつつリメイクできるものなのだなという驚きがあります。「~しても?」というセリフ回しなど英語翻訳まるでそのままだし、あんな美男美女ぞろいのセレブ風法律事務所なんてあるわけないやろ、と思ったりもしましたが、そこまで不自然さは感じませんでした。主人公になりきった織田裕二や、ノーブルな鈴木保奈美のふたりの雰囲気がばっちり。若手キャストのもの足りなさをしっかり補っていました。蟹江のウザさもちょうど良し。
最後は少し駆け足気味でしたが、大貴の未来に光が差してよかったです。

『今日から俺は!!』
いやー、まさかこんなに話題になるとは思いませんでした。ツッパリやらケンカやら、暴力・流血シーンばかりなので、苦情殺到かと思いきや、親子で見ている家庭も多かったとか。舞台を非現実的ですらある過去の80年代にしたことも成功の要因なのではないでしょうか。
横でチラ見していたツレが「エピソードが違う」「中野がいない」とちょいちょいツッコんできましたが、私自身は原作をほぼ忘れてしまっていたので、純粋に楽しめました。なんといっても、まさか廃墟エピソードが出てくるとは…予告で思わず「キター!」と叫んでしまいました。今井、最高です。さすが太賀です。いくら背が低かろうが、もう太賀以外の今井は考えられません。
賀来賢人は彼なりの三橋像を作り上げていたと思います。やはり原作の三橋は映像化不可能な魅力がありますから、あのまま演じることは無理でしょうし。その点伊藤はわかりやすいキャラですから、伊藤健太郎がカッコよく演じていました。地毛でツンツン頭を作っていたみたいですね。そりゃ大変だ。
京子ちゃんもかわいい橋本環奈なりのキャラ変でしたが、「ツーンツン♪」がないとなんだか淋しい日曜日。佐藤二朗のアドリブ祭りに最後は真顔で応じられるようになっていた理子ちゃんも、しっかりアクションで見せ場を作りました。
ツレが「軽井沢編がなかった!」とぼやいていましたが、私も今井in枯れ井戸やサイパム編や修学旅行編を見てみたいですし、中野や涼子も出てきませんでしたし、ぜひ続編かスペシャル版を作ってほしいですね。

『西郷どん』
ラスト2回は、それまでのあれやこれやを忘れたら、死にゆく者たちの悲劇として涙ながらに鑑賞できました。
ただ、「それまでのあれやこれや」があまりにもあんまりで…。
最後も予想どおり大久保を悪に仕立てて主人公を正当化してしまいました。瑛太の苦悩が能面のような無表情の奥に感じ取れたような気がします。西郷は後世の人気者ですが、不人気の大久保にも大久保なりの義があることを演者もしっかり理解したうえで臨んだはずなのに、最後の最後でこの扱いではやりきれんでしょう。
西郷も西郷でたいがいでした。なんか周囲の持ち上げ台詞とナレーションで大物ぶりをアピールしていましたが、矛盾だらけの展開では器の大きさもカリスマ性も感じることはできません。留守政府のあたりではむしろ無能っぷりをさらけ出しただけのような…。
働き方改革とやらで本編が何話かカットされたそうですが、そのせいとは思えません。そもそも島編が8話分というニュースを見た時は誤植か何かかと目を疑いましたし。明治政府のゴタゴタは最初から割愛する予定だったのでしょうか。もっとも、大久保の妻と妾のシェア談判やら最後の最後までつきまとう糸やら、女がらみのあれこれを挿入するくらいなら、もっと伝えるべきところがあったんでないかいと…。
もっとも、演者の役にかける思いはしっかり伝わってきました(岩倉のぞく)。最後の走馬燈で若い頃の西郷どんの細さにあらためてびっくり。さまざまな俳優が演じてきた西郷どんですが、鈴木亮平は鈴木亮平なりの西郷隆盛の人生を生き切った、と思います。
あまり活躍場面はありませんでしたが、桐野利明は杉本哲太より良かったかも(無意味なアクションはありましたが…)。『わろてんか』の漫才師でも感じましたが、大野拓郎は役になりきれる有望な若手ですね。最後、川路に撃たれる場面はやや盛りすぎとはいえ、悲しい結末でした。
それにしても、結局西郷どんがいったいどんな人間だったのか入ってこなかったですね…。幕末は革命であり、革命とは正義が勝つものではなく勝ったものが正義として歴史に名を残します。そして勝つためには清濁あわせ呑まねばならぬ苦悩を西郷はその大きな身体に閉じ込め、見えない敵と戦い続けたのです。幕末とは、勝者も敗者も歴史の波にもまれた人間たちのドラマです。決して善と悪というカテゴリーに分けて考えられるものではない。西郷という人間にフォーカスを当てるなら、もっと違ったアプローチがあったはずなのにと、もったいない気持ちでいっぱいです。
来年はもう少し気楽に見られるかな…。






『獣になれない私たち』
『逃げ恥』や『空飛ぶ広報室』のようなラブストーリーを期待していた人間を大きく裏切った「ラブかもしれないストーリー」。タイトルがあらわすように獣なれずもがきあがく人間たちの生きざまを描いたヒューマンドラマでした。
いい子ちゃんであるよう周囲の要求に応え続け自分を見失い牙をもがれた晶。
獣と見せかけて実はその牙すら作りもので心を閉ざしている恒星。
無害のようでありながら自分の攻撃で傷ついた他人からは目をそらし続ける京谷。
自分を守るすべを持たないからと周りを攻撃してばかりで結果自分が傷ついていく朱里。
自由奔放に生きているようで自分の傷も他人の傷も抱え込んでいく呉羽。
いかにしてこの困難な世の中を生きていくか。獣だけでは生きていけないし、それでも獣にならなければ自分が壊れてしまう。自分の獣をいかにコントロールして、それでも自分らしく生きていくか。それぞれの決断が、まわりまわって最後は鮮やかに着地を決めました。
晶はただただ「ガッキー」…でしたが、ガッキーだからいいのかな。最高のメガネ男子・松田龍平の色気は凄い。タクラマカン斎藤の注いでくれるビールがおいしそうでした。あんなバーがあったら常連になってしまいそうだな。

『昭和元禄落語心中』
NHKらしい丁寧な作りで、細部までこだわりを感じた作品でした。
当初はひっかかっていた岡田将生の台詞回しも、回を追うごとに気にならなくなり、自分の落語に目覚める部分は感動すら憶えました。老け演技も違和感なく、小夏とのシーンもまるでほんものの親子のようでした。
竜星涼の与太郎ぶりもなかなか。『ひよっこ』の印象がまるで変わりました。これからいろいろな役で出てきそうです。
しかしなんといっても、岡田将生・山崎育三郎・大政絢の八雲パートは本当に美しく、一遍の映画を見ているようでした。どこかあやういみよ吉の婀娜っぽさ、助六の一途さ、菊比古の落語へのまっすぐさ…不安定なバランスはどこかで崩れ、古い宿の手すりのように朽ちていく、人の世とはかくもはかないものか。
しかし助六と菊比古が誓った落語の道は、与太郎と小夏によって未来へ引き継がれました。信坊も菊比古の名を冠して高座へ上がり、明日へと繋がれていきます。最後三人に見守られながら、与太郎が九代目八雲として『死神』を披露する場面で、ドラマは幕を閉じました。
最後の最後で、小夏の父親がヤクザの親分ではない? と示唆されました。彼でなければ誰なのだろう? 与太郎ではないわけだし、松田さん(笑)でもないし。だとしたら…。
そこは考えないことにします。








『竹取物語』をジブリが映画化するとこうなるのか、という作品。
子のない翁と媼は、たけのこの中から生まれいでた美しい姫と出逢います。翁は天から授かった姫と喜び、もらい乳に出た道中で媼は出るはずもなかった自分の乳を与えます。
よく言われることのひとつに、「子を授かっても男は男のままだが女は母へと変わる」という説があります。姫という我が子を前に、媼は突如として母親に変貌します。一方翁は、姫の人より早い成長にあわてたり涙したり。媼は目を細めて見守っているだけ。「娘の一挙手一投足にうろたえる父親とどっしり落ち着いて構える母親」というのも、両親あるあるかもしれません。翁と媼はいわゆる男女のステレオタイプとして描かれています。
ステレオタイプとはいえ巧みに操り心に響くのがジブリ映画の特徴だと思いますが、あかるい色調で笑いを交えながら作り上げる宮崎駿作品とは少し違い、高畑勲作品は画面も暗く、人物描写も醜悪を隠しません。といっても高畑作品は『火垂るの墓』と『平成狸合戦ぽんぽこ』と『おもひでぽろぽろ』しか観ていませんが。
翁は美しく成長する姫と黄金を手に入れたことで、都で生活することを決意します。姫のしあわせのためと信じて疑わないその根底に、みずからの栄耀栄華への思いはなかったでしょうか。翁に欲が生まれた瞬間でした。いっぽう大きな邸と美しい着物を得ても媼は鄙の生活を続け、土間で機を織り畑を耕し、都の生活になじめぬ姫の相談相手となります。

欲に溺れた翁、情けを忘れぬ媼。
人間とは欲と情けのかたまりでできています。
醜い欲は月の住人の疎むものであり、欲を持った人間たちは姫を迎えに来た天人たちに眠らされますが、欲を持たない媼は最後まで姫を守ろうとそばに寄り添い、また純粋な子どもたちや女童も正気を保っています(子どもを純粋の象徴として描いているのもまた典型的なステレオタイプではありますが)。
最後に姫を失った翁は情けを取り戻し媼に謝りますが、そこだけ切り取って見ればむしろ翁と媼で欲と情けを持ち合わせる人間を描いた物語とも言えます。
姫の噂を聞きつけ、求婚する公達たちも当然欲深さしか感じません。権威をかさに着て姫の部屋にまで乗り込み空蝉されるアゴ帝なんてもっての他。
しかし唯一ひたむきだった公達の死に涙し自然を愛し花の美しさに喜ぶ姫もまた、欲を持ち合わせる人間でした。
ヒロインの相手役としては登場時間の少ない捨丸が、その相手です。
ジブリにおけるヒロインの相手役はえてして『ラピュタ』のパズーのような高潔な少年の印象がありますが、仕事熱心で面倒見のいい捨丸もそういうタイプかと思いきや、瓜泥棒になったり都では盗人もやっていたり、長じては妻と子を持つ一家の主であるにも関わらず、偶然再会した姫と駆け落ちを企てたりします。
まっすぐな人間、とは欲望に忠実でもあるということ。
これぞ運命と手に手を取り、空を舞うふたり。たぶん深い関係になったという暗喩なのでしょうが、捨丸はまっさかさまに堕ちていく姫を救うことができず、しかも我に返れば一睡に垣間見た夢とあっさり割りきれるステレオタイプのクズ男です。パズーとは較ぶべくもありません。
欲を情けにすりかえて不貞を正当化する輩は現実にも多くいますが、これは欲と情けの鏡合わせをひとりで表現させた役割なのかもしれません。
そして地上に別れを惜しむ姫に容赦なく羽衣を着せた月の住人。
雲に乗って飛来する姿は来迎図のごとく、極楽浄土とはかくやあるかとうっとりしながら見る者をばっさり切り捨てるかのように、情け容赦がありません。欲もなければ情けもない。
どれだけ輝かしかろうと、そんな月の世界よりも、かぐや姫の言うとおり地上のほうが美しい。
欲深く罪深くもあるけれど、そんな醜さを持ち苦しみながら生きる人間がいとおしい。
生きることの美しさ、尊さを一貫して描くジブリ作品。それを『竹取物語』に擬して描いたこの作品は、高畑監督がこの世に遺した素晴らしい人間讃歌であるのだと思います。

そもそも『竹取物語』とはなんぞや。
幼い頃、友達と「かぐや姫は何しに来たの? みんなを巻き込むトラブルメーカーやんか」と笑い合ったものです。
今でもその感想は変わりません。古典文学とはなかなかにして難解なものです。





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