ある秋の日、京都文化博物館に行ってきました。
猫! 国芳!
現代では馬だの電車だのいろんな擬人化が流行っておりますが、その面白さに魅せられたのはいにしえの人びとも同じ。
そして人が猫へ注ぐ愛情も、時代を経ても変わるものではありません。
擬人化十二支。それぞれの特徴を活かした躍動感があってユニークです。
ホラーシーンのはずですが、踊る猫や行燈の猫影がかわいくて微笑んでしまいます。
作・山東京山、絵・歌川国芳、波乱万丈なおこまの猫生を描いた一代記。あらすじを読むだけでワクワクする冒険譚です。
こちらは恋人の敵討ちを果たせず寝込んでしまうおこまの夢枕にとらが立つ場面。ちゃんと死装束を着ています。愛さずにはいられない。
ちなみに最後は三味線の皮になるおこま。あまりの人気ぶりに、二代目おこまを主人公にした続編も刊行されたそうです。
猫の後ろ姿っていいよね…。背中からお尻にかけてのこの曲線美がたまらない…。
当時のタレントを猫化するという発想が驚き。しかもきちんと特徴を捉えている。国芳のあふれる画才には感嘆します。
座布団を猫に取られている…きっとこんな日常を送っていたのだろうなあ。
そしていつの時代も、猫を前にして人は頬を緩めずにはいられなかったのだろうなあ。
浮世絵は当時の社会風俗を現代に伝えてくれると同時に、それを見て楽しんでいた人々の思いや表情まで想像させられます。江戸という街の喧騒まで聞こえてくるような気がします。
展示を楽しんだ最後のスペースはグッズ売り場…! 足を止めずにはいられない…!
そりゃ買っちゃうよね~。