『愛の不時着』
これは沼るってぇーーーーー!!!わかりやすいストーリーに加えて魅力的なキャラたち。沼ってしまって16話をイッキ見しました。
その理由は、出演俳優たちを見慣れていないせいもあると思います。日本のドラマなら、どれだけ良作であっても「○○役を演じる××が素晴らしい」という感想になるからです。韓国ドラマははじめてで、出演俳優を誰も知らないこともあって、本当にセリとジョンヒョクがそこに存在しているかのように感じられたのだと思います。
禁断の恋は『ロミオとジュリエット』や『古事記』でも描かれた、古くから人の心を魅了して離さない題材です。21世紀においてもなお、韓国と北朝鮮を分断する38度線は高い壁となってふたりの前にに立ちはだかります。彼らはこれをいったいどう乗り越えるのか。古典のように心中なんていいうバッドエンドは見たくない。いったいどうハッピーエンドに持っていくのか続きが気になって気になって、一話終わるとすぐに次の話を再生したい衝動を抑えるのに必死でした。
セリは非常に魅力的でした。持ち前の聡明さとポジティブ思考で難局を乗り越えていくさまは痛快だった一方、親兄弟に愛されず育った生い立ちのせいで深い孤独を背負っているという陰の設定のおかげで、より彼女に感情移入させられました。決して守られているだけではない能動的なヒロインは、非常に現代的だと思います。
ジョンヒョクは真面目で優しくて勇敢で部下思いという、ヒーロー像のすべてを詰め込んだような理想形。なのに嘘臭くなく、スマートでナチュラル。そりゃ惚れますわ。惚れましたわ。
脇を固める人びとも良かったです。もうひとつの物語の主役であるク・スンジュンとソ・ダン。詐欺師のスンジュンがソ・ダンへの想いを自覚し変化していくさまは微笑ましかったし、「セリの恋路を邪魔しないで!」と疎ましかったソ・ダンが最後には愛おしくなってしまうのも想定外。しかしふたりの恋の結末は悲しいものとなってしまいました。
第5中隊ズは言うまでもなし。「日本人なら誰々が演じそう」と想像しながら観ていました。マンボクまで珍道中に加わるとは思ってもいませんでしたが…。前半からずっと苦悩している姿ばかりだったので、罪の足枷から解放され、多彩な表情を見られて良かったです。北朝鮮組は、村の主婦連中もソ・ダンの母や叔父も、その国のイメージとは大きく異なるコミカルなキャラばかりでしたが、誰もに幸あれと願わずにはいられない愛すべき人々でした。
一方、悪役の存在感も特筆もの。チョルガンは本当の悪人にしか見えませんでしたし、セリの次兄夫婦の小賢しさも憎らしく、悪は悪として徹底されていたあたりも見やすかったです。
つまり、登場人物の造形は割と平凡なのですが、鼻につくことは一切ありませんでした。ひとりひとりのそのベタな個性がきちんと物語を構成するピースになっていたからです。かみ合った脚本・演出と、それを体現した俳優の名演あればこそです。
さて、ふたりがいかなる結末を迎えるのか涙にくれながら見守った最終回。彼らがはじめて出逢ったスイスの地で、逢瀬を満喫するふたりの姿で物語は幕を閉じました。まるで織姫と彦星のような、年に一度、短い休暇の間だけの恋人生活。それでも幸せに満ちたふたりの様子に、最良のハッピーエンドだったと胸がいっぱいになりました。
さらに、セリとジョンヒョクを演じたふたりが本当に結婚したという後日譚(?)を知って幸福感は倍増。
『レッド・ファミリー』の時もそうでしたが、ついついフィクションと混同してしまって「ようやく結ばれたのね…本当に良かった…」という気持ちになってしまいます。
『全裸監督』
はじめて森田望智をドラマで観たのは
『トップナイフ』でした。脇役ながら「『全裸監督』のヒロイン」と話題になっていましたが、今更ながら5年前のこの作品を観て「そりゃ話題になるよな…」と実感させられました。
作品の中で女優が脱ぐと「体当たりの演技」と高評価を受けがちですが、これは本当にまぎれもなく「体当たり」でした。監督と女優が心の中までさらけ出してぶつかり合うさまはこちらの身体まで痛めつけられるような感覚に襲われましたし、みずからを解放して恍惚とする表情にはゾクゾクさせられました。
黒木香がテレビに出ていた頃は、親にすぐチャンネルを替えられていたのですが、独特な口調や腋の見せ方などはなんとなくそのおぼろげな記憶どおりです(ちなみに村西とおるの記憶は皆無)。
サファイア映像の制作風景などコメディタッチの部分も多くあったものの、リリー・フランキーや國村隼から発せられる冷気によって、作品が軽くなりすぎないようバランスが保たれていました。底の見えない怖さと醸し出す色気には魅了されます。
『全裸監督2』のヒロインは恒松祐里のようですが、森田望智も恒松祐里も『おかえりモネ』に出ていたことを思えば、なかなか豪華な朝ドラだったのですね。
『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』
続編がABEMA配信と知ってガッカリしていたのですが、ネトフリで視聴できました。
シーズン1よりさらにハードモードな内容(しかも海外ロケ)だったので、確かに地上波では無理だったろう…。
今回の敵は闇バイトの元締め。悲惨な過去を背負う鬼塚の気迫は凄まじかったです。池内博之の存在感と目力には圧倒されました。その部下である男女も雰囲気があるなあと思っていたら、男のほうは
『下剋上球児』の根室(兵頭功海)と知ってビックリ。あんないい子だったのにどうして…!
展開がスピーディで飽きさせず、謎が一気に解けていく後半は惹きこまれました。山田孝之や二宮和也が割と美味しくない役で登場したあたりも贅沢な作品です。不死身のキムには少し笑ってしまいましたが。朝ドラのおバカな一ノ瀬ワタルも良いですが、こういうエキセントリックな役柄も似合いますね。
今回も刑務所に入れられたり銃撃戦に巻き込まれたりとさんざんな目に遭った三島。佐野玲於の三枚目ぶりは磨きがかかっていました。シーズン1のラストで成長したと思ったのに、結局今回もポンコツ呼ばわり。こうなると愛着すら湧いてきます。いつまでも木原にいたぶられる三島の姿を観ていたいという…。
一方今回の木原は、自分が鬼塚の娘の殺人事件にはからずも加担していたことを知り、苦悩する姿がありました。闇の中にいた彼を救いあげるのが冴木というのも心憎い演出。ただ、最後の莉子との会話には、それまでの余韻も全部吹っ飛んでしまいました。序盤、出会ったばかりのはずのふたりの会話に違和感を抱いたことは確かですが、まさか親娘だったとは…。続編をますます観たくなりました。
『宇宙を駆けるよだか』
原作を途中まで無料で読んで、結末が気になっていた作品。
配信された7年前は、入れ替わりの張本人を演じた清原果耶も富田望生もまだ無名の頃のはず。そのため、クレジットはWEST.の重岡大毅と神山智洋がトップになっています。しかし、さすがのちの演技派女優。あゆみと然子の存在感が光り輝いていて、しろちゃんと火賀は完全に押されてしまっています。
重岡大毅は『雪女と蟹を食う』で人生に絶望した主人公役を好演していましたが(今気づいたが、何話か飛ばしてしまったせいか感想を書いていなかった)、今回も温厚で勇敢な火賀を魅力的に演じていました。なかなか真意が判然としないしろちゃんより火賀のほうが感情移入しやすいですから、最後はあゆみと火賀が結ばれたら良いのになあ…と期待していたのですが、結局切ない役回りで終わってしまいました。
火賀が関西弁だったのはしろちゃんと区別をつけやすくするためでしょうが、ドラマアレンジとしては良かったと思います(原作では髪の色で見分けていた)。演技力の差なのか、神山智洋が他三人と較べると見劣りしてしまったのは少し残念。火賀に人格が入れ替わって関西弁を話し出した時は、まるで水を得た魚のようにイキイキとしていたのですが…。
二度目の入れ替わりが描かれたのはほんの一瞬でしたが、清原果耶も富田望生も、そのわずかなシーンで火賀としろちゃんを感じさせたのはさすがでした。最終回のエンドロール後のあゆみも然子も、初回の姿とはまるで異なり、ふたりとも事件を経て成長したことを感じさせられる表情をしていました。この難しい役柄を演じられる同世代の女優がふたり揃っていたことに感動さえ憶えます。だからこそ火賀やしろちゃんも、同世代で揃えてほしかったな…と思わないでもありません。いや、良かったんだけど、さすがに年齢がね…。