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続・風花の庭

朝がほの凋まぬほどに降り晴れて雨より後の秋のあつさは(上田秋成)

今日までのオリンピック~三万五千の時を数えて

  posted by さや at 20:00:00 │EDIT
ソチで銀・銅とメダルを獲得し、一躍注目されたスノーボードハーフパイプ。
前回銀メダリストとなった時はまだスノボの天才「少年」という雰囲気だった平野歩夢選手の、すっかり大人びた姿には驚かされました。
アメリカでは盛んなスノーボードですが、全員プロとして数々の大会をこなす選手たちにとって、オリンピックはそこまで重要な大会とは位置づけられていないと思っていました。しかし平野選手は違っていました。金メダルを目指すと公言し、大怪我を負ってなお高難度のプログラムを組み、この戦いに挑みました。
その恰好や過去の舌禍などから「チャラい」「軽い」とつい色眼鏡で見てしまうスノボ界ですが、ピアスに長髪の平野選手の口から発せられる真摯な言葉の数々と、まっすぐな両の瞳にはついこちらも背筋を伸ばしてしまいます。
オリンピックではじめて連続4回転の技を決めても、絶対王者ショーン・ホワイトの後のない状態からくり出された高いエアには及びませんでした。スケボーで東京オリンピックの出場を目指すという報道もありましたが、まず平野選手が意欲を示すのは競技人口が少なく設備も整っていない日本国内での底上げ。まだ19歳の青年の未来は、銀メダル以上の輝きをもって待っているようです。

同日に行われたのが、ノルディック複合W杯総合ランキングトップで迎えたソチ銀メダリスト・渡部暁斗選手のノーマルヒル。4年越しの思いを平昌ジャンプ台の風が受け止めてくれるか不安でしたが、トップと28秒遅れの3位につけました。クロスカントリーの強化に励んできた渡部選手ならきっと大丈夫。刻一刻と順位の変わるスマホの速報を片手に信じて家路を急ぎました。
が、帰り着いたのは「いやぁ強い、強いな~」という萩原健司さんの解説とともにフレンツェル選手がゴールした瞬間でした…。
惜しくもまた、上り坂で突き放されてしまったようです。
それでも「惜しくも」なのです。4年前は、複合で日本選手がメダルを取ったことを喜びました。攻めにいった結果の大健闘でした。しかし今回は違います。渡部選手は頂点を狙うことを明言できるほどの努力と研鑽と実績を積んできました。誇らしい、けれど悔しさも残る銀メダル。だからこそ前回は不完全燃焼に終わったラージヒルにリベンジを誓う姿は力強く、見る者に勇気を与えました。4年という長い時間その実力を保ち続けてこそ、本当の強さ。複合ニッポンの復活のために、これからの4年は渡部選手に続く若手の活躍が待たれます。

そして、この日のメダルラッシュの最後を飾ったのは、女子スピードスケート1000m。小平選手・高木選手の銀・銅両獲りでした。
金メダルはやっぱりオランダの選手で、オリンピックに合わせてくる強さはさすがのものでしたが、小平選手もソチで悔しい思いをして単身オランダに武者修行するなど、4年の歳月をこの日のために捧げてきたアスリートです。世界記録保持者として挑んだ決勝、わずか及ばなかった0.26秒がオリンピック2位という栄誉を悔しいものにしてしまったのかもしれません。
試合前も後も、表彰式でさえあまり表情を変えず淡々とこなす小平選手はまるで女侍のよう。クールでカッコよくて素敵です。はじける笑顔は500mを待つことになるでしょうか。それでも鍛錬に鍛錬を重ねて迎えたこのオリンピック、ぜひすべてが報われますように、リンクの女神が微笑みますように。
そして1500mに続いてメダリストとなった高木選手。日本選手がふたりも表彰台に並ぶとは、ソチの時には思いもしませんでした。パシュートで金メダルならコンプリート。3つの異なるメダルがその首にかかりますように。




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今年のチョコは

  posted by さや at 20:50:00 │EDIT


将棋チョコ!

藤井五段の活躍で将棋ブームが到来しておりますが、そのずっと前から将来の夢は名人らしい我が夫のために探しましたよ。

ほんとは、将棋盤つきの対局セットもあったのですが、さすがにお値段が…。

好きな駒から食べていました。
私には駒の違いすらわかりませんが。



今日までのオリンピック~笑顔は最高のカイロ

  posted by さや at 21:00:00 │EDIT
さあ始まりました、冬の祭典。
寒さは史上最強ですが、自分の中での盛り上がりも史上最強です!

ソチで「これ、いるん?」と思わずにはいられなかったフィギュア団体。
キス&クライに勢揃いした選手たちを見られるのは新鮮といえば新鮮なのですが、身体への負担が気になります。コストナー選手やコリヤダ選手はSPもFPも滑っていましたし、日本のペア&アイスダンスも両方の出場です。それでも日本が決勝進出できたのは須崎&木原選手と村元&リード選手の頑張りあっての賜物です。ペアのオリンピックでの自己ベストは大健闘。これからの強化に期待します。
羽生選手を欠いてエースに奉られながらも、しらっと100点超えした宇野選手はさすがのひとこと。いっぽう坂本選手は演技前から見たことのないがちがちの表情でした。田中選手も4回転が決まらず悔いを残す結果となり、ふたりともこれで緊張が解けてくれれば良いのですが。
安定した滑りを見せた宮原選手の点数は残念でした。「こりゃ70点超えたわ!」なんてツレに言い放った直後、凍りついた我が家。キス&クライはおろか実況席まで固まっていたような…。
復帰直後とあって目をつけられているのか、今季は回転不足を取られがちだったとはいえ、まさか大盤振舞いのオリンピックでここまで厳しい判定をされるとは思いもしませんでした。それにしても、ほとんどのジャッジが加点を付けた3Loに-3をつけたジャッジはなんなのかね? 別の選手の失敗ジャンプに+3をつけたジャッジもいるし、フィギュアのプロトコルはなかなか興味深いですねー。

そんなモヤモヤ~を吹き飛ばしてくれたのが、メダル第1号となった原大智選手のモーグル。上村選手の活躍で女子モーグルは視聴の機会が多かったですが、男子は初めてかも。さすがスピードもエアの迫力も違います。
堀島選手がメダル候補とあって競技自体は注目されていたとはいえ、まったくノーマークだった原選手の躍動するような滑りには驚かされました。決勝前の跳び跳ねるかのように楽しそうな笑顔にもびっくり。ノリのいい渋谷っ子かと思えばインタビューでは場馴れしておらず何とも素朴で、そのギャップもまたこれから応援したくなるような選手でした。

連休最後のこの日はメダルラッシュ。はじめて出場したバンクーバーではまだあどけない女の子だった高木美帆選手が、ソチ落選を経てすっかり精悍な顔つきのアスリートになっていました。オランダの独壇場を許したソチの後、日本はそのオランダからコーチを招き、スピードスケートチームの強化をはかりました。高木選手も過酷な練習を経て中長距離のエースとして花開いたひとり。メダル候補として臨んだ1500mは、3000mで表彰台独占したオランダの牙城をついに崩しました。先に走ったブスト選手が圧倒的なタイムを叩き出しての最終組、高木選手がフライングした時はヒヤッとしましたがスタートしてからは終始落ち着いていて、コーナリングもスムーズ、最後のペースアップには見ている方が加熱してしまいました。
8年越しの悔しさをはらす銀メダル。それでも表彰台の笑顔はバンクーバーの時と同じ可愛らしいものでした。

圧倒的金メダル候補として挑んだソチでメダルに届かず、涙をためて謝罪を口にする少女にこちらが謝りたくなったあの日から4年。当時は世の中に芽吹いたばかりだった競技は今や裾野を広げ、高梨選手は絶対女王ではなくなりました。一度も勝てずにオリンピックを迎えた今季。雪辱を誓っての金メダル宣言は、きっとソチとはまた異なったプレッシャーとなってのしかかっていたに違いありません。
それでも、たゆまず鍛練を積み続けたであろう4年の歳月は彼女を裏切りませんでした。
着地した後の笑顔とガッツポーズ。仲間の祝福を受けて涙。この時を待っていました。この瞬間を見るために起きて待っていました。
本人が切望した色ではなかっただろうけれど、悔いのない飛躍だったことが伝わる表彰台の満面の笑顔でした。
4年の月日は高梨選手をすっかり綺麗なお姉さんに変えたけれど、インタビューにひとことずつ丁寧に相手の目を見ながら答える姿は以前と同じものでした。幼さの残る頃から活躍していた選手はつい「浅田真央ちゃん」「福原愛ちゃん」のようにちゃん付けで呼んでしまいたくなりますが、やはり高梨選手もどれだけ成長しようと国民に愛される「沙羅ちゃん」です。
北京、そしてその次、世界のトップを走り続けることは容易ではないけれど、いつまでも沙羅ちゃんのはじける笑顔を見ていたいなと思います。

ずっとテレビで流しているので普段は目にしない競技にも興味津々です。やはり不思議なスノーボードスロープスタイル。今回も出た、編み物!? 「おしゃれですね」「スタイリッシュですね」「渋いですね」他競技では絶対聞くことない謎の解説!?
そしてメダルに届かず報道されないところでも選手たちのさまざまな表情があります。女子ジャンプの伊藤有希選手は高梨選手と切磋琢磨しながら競技の先頭をひっぱってきました。メダル候補にも挙げられていましたが、本番は風に恵まれず9位。それでも高梨選手の飛躍の後笑顔で駆け寄って抱き締め言葉をかける姿が印象に残りました。葛西監督の前では悔し涙が止まらなかったそうですが、気まぐれな平昌のジャンプ台には男子も苦戦しています。
外国の放送時間にあわせるためのアスリートファーストには程遠い競技開始時間。強烈な風と寒さで女子スノボSSではほぼ全員転倒する事態となり、やりきれなさを口にする選手も少なからずいました。たはだでさえ開催前から政治的な思惑が入り乱れていた平昌オリンピック。せめて競技の間だけはそういった生臭さを排除して、選手たちの大舞台にかける思いを感じられる、至高の時間にしてほしいと思います。



ドラマ寸評(2018年第1期②・最終回①)

  posted by さや at 11:00:00 │EDIT
『海月姫』
能年玲奈の主演映画が公開された時にはたいして興味を持たなかったのですが、今回のドラマ化で原作が『東京タラレバ娘』の東村アキコであることを知り、気楽な気持ちで視聴してみたら…。
ナニコレ、めっちゃおもしろいー!
思わず原作を3巻まで無料で読んでしまいました。続きをポチりかけたところで全17巻と知り、指が止まりましたが。
際立ったキャラたちがおりなすスピーディーで単純明快なコメディかと思えば、女装兄と童貞弟との三角関係がちゃんと恋愛ドラマしていて、毎回泣きどころもあります。『のだめ』のような、漫画チックだけれど意外にも見ごたえある青春ドラマだと思うのですが、視聴率が思わしくないみたいですね…。キャスティングにこれといった看板俳優がいないからかな。
とはいえ、朝ドラ以降評価の芳しくない芳根京子ちゃんはクラゲオタクの冴えない田舎娘と変身後のあか抜けた姿をきっぱり演じ分けていて、さすが女優さんだなと感服しました。尼~ずたちの木南晴夏&内田理央&松井玲奈(後者ふたりは前髪のせいでどっちがどっちかわからん)も華を消して変人になりきっていますし、なんといっても瀬戸康史の女装が美しすぎる。声が低いからドラマ上は男だとすぐわかるのですが、見てくれは完全に普段バージョンの尼~ずを遥かに凌駕しています。女装男子といえば忘れられないのが池松壮亮(『MOZU』)ですが、今思えばかわいそうだったな…。
メガネ男子の工藤阿須加や振り切った森里香、間合いが絶妙な要潤(原作を読んだらハマり役過ぎて笑えた)など、兄と弟を入れ換えた以外は脇に至るまで漫画に忠実で、購入を断念したラストはいったいどういう展開になるのだろうと今からワクワクします。

『anone』
『Mother』『Woman』とさんざん泣かされてきた日テレの坂本裕二。今度はいったいどのような涙をもたらしてくれるのかと思っていたら…。
初回は坂本脚本のパターンともいえる、視点を眩ませるかみあわない会話の応酬。我慢していれば本題に入るはず…と耐えるにはその「本題」がなかなか見えてこないだけに、少し長く感じる時間でした。坂本脚本には毎回書いているような気がしますが、どうして連ドラでわざわざこういう導入にするのか、まったくもって理解に苦しみます。『カルテット』の高評価で満を持して制作された坂本作品の割には低い視聴率も、それが原因としか思えません。
しかし回を追うごとに深みを増していくのもまた、坂本裕二作品の特徴。ネカフェ暮らしでみずからを「ハズレ」と称する主人公のハリカは、幼少期少し個性の強い子であったため更生施設に預けられ、おぞましい虐待を受けていました。ネット上でしか心を開けなかったハリカでしたが、廃棄されていた偽札をめぐって、義理の娘との確執を抱える亜乃音、人が好すぎる持本や正体不明の女性るい子らと出会ったことで、少しずつ彼女を取り巻く世界が広がっていきます。
『Mother』の虐待、『Woman』のシングルマザーといったテーマが浮かび上がってこないだけに、今後どういった展開が待ち受けるのか予想し難いのですが、これまで別々に生きてきた人間たちの人生が偶然によって交差し、絡み合い、それによりさらにひとりひとりの存在が鮮やかに浮かび上がる、そんなひと時のきらめきを坂本脚本は明確に描き出してくれます。今回もきっと、強く心に刻まれる作品になるであろうと確信しています。

『BG~身辺警護人~』
ひさびさな気がするキムタク作品。いくつになってもキムタクはキムタク。SMAPとか、ジャニーズとか、そんな肩書はもういらない。キムタクというブランドは唯一無二にして永遠なのである。
それはさておき、『アイムホーム』でも父親役を好演していたキムタクですが、今回もちょっと権威のない父を演じています。しかし仕事上では飄々と周囲を煙に巻きながらしっかり役割を果たすところはさすがキムタク。いや、役柄なんだけど。警察が担うSPと異なる、民間警備が担うボディガードは『4号警備』でも描かれていましたが、やはり見どころはなんといっても丸腰ならではの激しいアクション。迫真の演技で魅せてくれます。キャストも江口洋介や石田ゆり子、上川隆也など豪華俳優陣。CGやロケも充実していて見ごたえがあります。
主人公は仕事でも私生活でも何やら過去を抱えている様子。キムタクが演じるのはもうラブロマンスではない、人間ドラマのできるトシになったのだなあと何やら感慨深い思いにもなります。

『女子的生活』(最終回)
人は常にカテゴリーで分別されてきました。
国家レベルなら民族や宗教、学校という小さな単位ですら人はつねに何らかのカテゴリーを設け、それから外れる人間を排除してきました。生き方の多様性が叫ばれるようになった現代でもなお、多数派の中にいることこそが安寧であり、幸せであると定義づけられています。単一民族である日本ではなおのこと、その意識が強くDNAに刻まれているのかもしれません。
それはさておき、このドラマはそういった差別を声高に主張しているものではありません。だからこそ、カテゴリー外であることを自覚しながらアイデンティティをしっかりと保つみきの生き方は強く印象づけられます。
集団の中で生きていくうえで、人は何かしら生きにくさを感じながら日々を過ごしていかなければなりません。
子どものうちは、友達がいない。勉強ができない。運動ができない。なるべく目をつけられないように、いじめられないように、空気を読んで笑顔を作って教室での時間をやりすごす。
大人になれば、そんな我慢はしなくてすむと思ったら、大間違い。
結婚していない。
子どもがいない。
子どもが男あるいは女しかいない。
専業主婦、兼業主婦。年収の多寡。モデルファミリー、男やもめ、シングルマザー。
さまざまな人生をカテゴリーに当てはめて、カテゴリー外の人間を疑問視する人はどこにでもいるもの。
そういった周囲の声に時には傷つきながらも、一夜の涙とため息で日々を過ごすみき。LGBTだとか差別だとか関係ない。好きなものがあって、ともに笑う仲間がいて、気楽に付き合える友達もいる。時には失恋し、悲しいこともあるけれど、それでも明日に向かって闊歩する。自分らしく生きていくために。
カテゴリーに入れずに苦しんだことがある人ならば、みきの生き方に共感しないはずはない。みきは差別されてかわいそうな人ではない。頑張らなければいけない人ではない。珍獣ではない。このカテゴリーだらけの世界で一喜一憂しながら生きている、もうひとりの自分だ。だから自分も生きていこうと思う。みきのように、時にはくじけそうになっても、前を向いて歩いていこうと思う。



ドラマ寸評(2018年第1期①)

  posted by さや at 16:00:00 │EDIT
『西郷どん』
2話まで見た限り、とりあえずついていけそうです。
話題にもなっていましたが、初回の小吉、2話のふきと、子役の熱演が視聴者をぐいっと惹きつけたと思います。最近の子どもは凄いな。
あと、風間杜夫&松坂慶子&平田満の『蒲田行進曲』トリオの共演、語りの西田敏行&島津斉興役の鹿賀丈史という『翔ぶが如く』コンビの復活も、オールドファンにはたまりません。
まだまだ「やっせんぼ」の西郷どんですが、鈴木亮平はきっと新しい西郷隆盛像を生み出してくれると思います。ここ最近の大河ドラマにおける西郷隆盛は脇役だったため、倒幕に暗躍する策略家であったり、腹黒な野心家であったりと、悪役に描かれることが多かったのですが、ひさしぶりにまっすぐなヒーロー西郷どんが見られそうです。
『翔ぶが如く』が放送された時は小学生だったので、毎回きちんと見ていたわけではなく記憶もあまりないのですが、西郷と大久保がともに手を取り維新を成し遂げながら最後は敵味方に分かれるという悲しい結末は、今でも強く印象に残っています。
今回はふたりの友情はメインストーリーでないとはいえ、西郷を描くに大久保の存在は欠かすことはできません。大久保役の瑛太は『篤姫』で演じた小松帯刀のイメージが自分の中で払拭できていないのですが、あれから演技力が増しましたし、切れ者ゆえの苦悩を見せてほしいと思います。
昨年流行したゲス不倫で斉藤由貴が交代するも、同じ文春砲をくらった渡辺謙が降板しないのはどーたらこーたら、と若干話題になっていましたが、やはりNHKの続投判断は正しかったですね。抜群の存在感でドラマを引き締めていました。鹿賀丈史と親子役というのは違和感があるにせよ、斉彬という重要なポジションはやはり渡辺謙にしか任せられなかったのだろうと思います。
と、なかなか見ごたえのある2話だったわけですが。
唯一の不満点は、「意識高い系女子」いとの描写。男装して学問しようとした『篤姫』とかぶってるし、この時代にその価値観、別にいらなくね? 男女不平等について考えるきっかけを小吉に与えたとはいえ、それが今後にどう影響してくるというのか? 演じる黒木華は時代を先取りする女性とは真逆の古風な雰囲気ですし、まさかむりやりなこじつけか?
前情報でBLという言葉がひとり歩きしていたので、やや不安ではあったのですが…。
ここまでの雰囲気のまま、幕末維新のエネルギーを表現してくれることを祈ります。

『女子的生活』
朝ドラの出演も決まってすっかりNHKづいている志尊淳ですが、『植木等とのぼせもん』はその演技で見るのをやめたほどなのでLGBTという複雑な役を演じきれるのか、ほとんど期待はしていなかったのですが。
う、美しすぎる…。
というのが、第一印象でした。ただそれだけではない、ドラマ全体の密度の濃さに惹きつけられています。
以前、職場にLGBTの人がいました。仕事のできる人でもあったので女性は割と普通に受け止め信頼を集めていましたが、男性の中にはそれが理由で人格を全否定するような陰口を叩く人も少なからずいました。「腐女子」という一定の存在もあるように、性的少数者に寛容なのは女性のほうなのかもしれません。主人公・みきも、女性の多い職場で働いています。そして男性として生まれながら女性として生き、さらに好きになるのは女性という複雑なみきの性的指向を周囲は受け入れています。みきを採用した社長は男性ですが、女性向けファッション会社を運営するだけあって、「うちの服が似合えばオッケー」というスタンス。家も職場もカワイイものに囲まれ、街中でカワイイものを見つけては写真に収め、ガールズトークに花を咲かせる、みきはどこにでもいるそんな女子としての「女子的生活」を満喫しています。生まれ落ちた時の性別が男、ということをのぞいては。
好奇心や差別意識にまみれた世間で生きていくうえでは、トランスジェンダーである現実からは逃れられません。トランスジェンダーに限らず、いわゆるマイノリティに接した時、人はどうしても平静ではいられません。驚いたり、下卑た好奇心を持ったり、見下したり、感情は様々ではあるけれど「それを口にしてはいけない、態度に出してはいけない」風潮がある。なぜなら、相手は「差別されている人」だから。「差別されている人」は「カワイソウ」であり「すごく頑張って生きている人」だから。だから「カワイソウな人を、頑張っている人を差別してはいけないのです! 私は差別なんてしません! 私はあなたの味方です! 私は差別しないイイ人です!」と、それこそが差別意識であることを気づかず声高に主張する無神経な人はどこにでもいるもので、きっとみきもそんな他人に心を乱され続けたのだと思う。せいいっぱいに女子として生きながら、みきはどこか無理しているようにも見えます。ナチュラル系女子を装いながら真っ黒な内面を隠し持ったゆいに惹かれながらも、自分が異質であるという意識からか、一歩引いてしまいます。
そんなみきの心に強引に転がり込んできたのが、高校時代の同級生の後藤。共同生活を送ることになった後藤のおっちょこちょいな性格や見境のない行動に振り回されながらも、みきはどこかでリラックスしています。後藤の中でみきはどれだけ変貌しようと高校時代を共に過ごした「小川」であり、女子的生活の中で捨てたはずの過去と現在を結びつける唯一の存在です。常に他者によって揺るがされそうになるみきのアイデンティティに、小川幹生であった18年間は決して消すことはできません。その事実を後藤の存在によって目の前に突きつけられ、意外にもそれを受け入れている自分に、みきはさらに揺れています。
生きていくうえで、誰しもが自己と他者をさえぎる壁に直面します。自分の信じる道を進もうとしても、それが他者にとって正しいとは限らず、他者に囲まれて生きていくからには他者に迎合するか後ろ指を指されるのを覚悟で我が信ずる道を行くか、その二択に迫られます。みきがいったいどのような決意を持って人生を歩もうとするのか、たった四回と短い尺で描き切れるのか不安はありますが、みきの人生を、ラストまでしっかりと受け止めたいと思います。





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