かすむ夜の光を花とにほふにぞ月のかつらの春もしらるる(二条為明)
山小屋に迷い込んだ見知らぬ3人の男女、というイントロダクションは一時流行った設定のようですが、考えてみたらその手のサスペンスはほとんど観たことがないような…。
当初に感じていたささいな違和感は、謎があきらかになっていくにつれ解き明かされていきます。
サマンサの古風ないでたちとレトロな車。
3人が見る奇妙な夢。
トムとサマンサ、ジョディとサマンサ、トムとジョディの間のそれぞれの空気感。
3人は血縁者で、時代を超えて同じ場所に集まってきていました。
そしてそれぞれ、不幸な運命を背負っていました。
さらに現れたドイツ人兵士、ハンス。彼は第二次世界大戦で命を落としたサマンサの父親。
ハンスが生きてさえいれば、未来は変わっていました。サマンサが出産で命を落とすこともなく、ジョディが死刑囚になることもなく、トムが神父に虐待されることもなく。
3人はハンスを救うため、そして未来を変えるため、命をかけて戦います。
登場人物はほぼ4人、狭い空間、貧相な空爆シーンなど、低予算まるわかりなうえ、使い古されたタイムリープものにもかかわらず、じゅうぶん良作に仕上がっていました。タイトルは原題の『Inter Nowhere』の方が良かったような気もしますが。
3人の謎がだんだん明らかになっていく過程や伏線回収のタイミングなどテンポが良く、それぞれの行動にも矛盾を感じませんでした。アイディア一発勝負で、まだまだこのジャンルにも面白い作品は産まれるのだなあと感服します。
3人の奮闘のおかげで未来は変わりました。
死なずに帰国したハンスは、篤志家として天寿をまっとうします。ラストカットは、立派な邸宅から海に向かう貴婦人のサマンサとエエトコのお嬢様風のジョディでした。
幼いトムの姿はありませんでした。
鑑賞後、ヤスオーと「トムはどうなったのか?」という議論をしました。ヤスオーは「ジョディがやさぐれなければ強盗の相棒と知り合うこともないから、トムは生まれない」と言いますが、私はきっといずれトムもジョディの息子として生まれてくるのではないかなあと思います。なぜならサマンサの夫が必ずしもアダムとは限らないですし。片親のサマンサに冷たくするような両親を持つ男とは、ハンスが結婚させないような気もしますし。アダムではない夫との間にジョディが生まれてきたのだとしたら、トムも生まれてくるはずです。
セワシもこう言ってるし!
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将棋好きのツレのおかげで、棋士にはそこそこ詳しいです。
村山聖のことももちろん知っていました。
棋士は不思議な存在です。
ブームになった時の羽生も、今の藤井聡太も、まるで芸能人のようにワイドショーで特集されていますが、やはり何か違う気がします。棋士はアイドルのような憧れの存在でもなければアスリートのような目標にもなりえません。といって一般人のようにもてはやされて浮つくところもありません。
今でこそAIが発達して、人間の想像もつかないような一手をあみだすようになってきましたが、少し前まで将棋はコンピューターが唯一人間に勝てない競技と言われていました。そのくらい、将棋盤の上には無限の世界が広がっています。その誰も見たことのない先に足を踏み入れ、誰も思いもつかない一手を引き出す作業を、永遠にくり返す職業。みずから「負けました」と相手に頭を下げなければ勝負はつかず、そして勝ってガッツポーズする人もいない。つくづく、将棋は不思議な世界です。
そんな場所に棲む棋士は、我々凡人とは違う景色を見て、違う次元を生きているような気がします。
凡人には想像できなくても、同じ世界を生きる棋士同士なら共有できる思いがある。
誰も見たことのない世界に、もっとも近いふたりだからこそ。
村山と羽生。もし村山が病魔に侵されていなかったら、きっと歴史に残る名勝負がもっと数多くふたりの間で生まれていたに違いない。しかし病室で将棋を憶えた村山が、もし健康だったなら将棋には出会っていなかったのかもしれない。
そして稀有な才能を持ったふたりが同時代に生まれたこともまた、人生における不思議なめぐりあわせだったのかもしれない。
文字どおり命を削りながら将棋に対峙する村山。将棋会館に向かう道中で行き倒れながらも、将棋盤の前に座ればまるで病などなかったかのようにしゃんとして駒を打つ。その一手が命を縮めることになる、それを知りながらも将棋をやめない。誰しも死を前にすれば、どれだけ大切なものであっても手放すことをいとわない。しかし村山は無限の世界に挑み続ける。
なぜ、そうまでして村山は戦うのか。
その答えは、わかりません。
村山、そして羽生にしかきっとわからないでしょう。将棋の世界にいる者にしかわからない、そうさせる何かがあるのでしょう。
そんな不明瞭な世界を演じなければならなかった松山ケンイチと東出昌大。少しこちら側の空気感が残ってしまっていたのは無理もない話です。ただ、東出くんが随所に羽生の雰囲気を見せていたのには驚きました。黙して考えるところは悠太郎さんぽかったですが。
松山ケンイチはさすがのカメレオン俳優ぶりです。師匠のリリー・フランキーも本当にあんなベテラン棋士がいそうな存在感でした。荒崎は先崎なのでしょうが、『月下の棋士』の関崎といいどうしてあんないけ好かないキャラ付けをされるのだろう…。
●インビジブル・ゲスト 悪魔の証明:★★★☆☆
先月に観た「ピエロがお前を嘲笑う」と同じく、信頼できない語り手の話でストーリーが進み、ラストにもう一捻り加えていますが、この映画のラストの一捻りはなかなかの衝撃です。全体的にこじんまりとしていて、他は特に褒めるところはないですが、この一捻りだけでも十分見る価値はあると思いますね。
●エミリーローズ:★★★☆☆
これ法廷劇だったんですね。ジャケットからは想像できませんでした。僕は悪魔だのマリアだのはこれっぽっちも信用していませんし、エミリーが精神異常者でてんかん持ちだっただけだと思うので、投薬や通院を強制的に止めさせたわけでもない神父がなぜ訴えられるのかというところで憤りを感じましたので、ラストにもそりゃそうだろと思っただけで感動はなかったです。
●マイ・インターン:★★★★☆
主要な登場人物は全員善人で、内容も浅いし、展開もご都合主義を極めているので、こんなに脳を使わずに観られる映画はなかなかないです。しかし、おとぎ話と割り切れば腹も立たないしそれなりに感動もします。「癒されたい」という意味では満点の映画です。僕は、旦那は浮気相手といざセックスしたらイマイチだったから切ったんだろとか下衆の勘繰りばかりしてましたが。
●メイズ・ランナー:★★☆☆☆
気がついたら知らない所にいて記憶がないとか、コミュニティに安住する派と逃げ出す派との対立とか、プロットはベタですね。タイトルに「メイズ」とあるんだからもっと迷路をクローズアップしてほしかったですし、タイトルに「ランナー」ともあるんだから、走ることについて何か意味があれば良かったです。ヒロインが出てきたぐらいからは特におもんなくなりました。
●キャビン:★★★★☆
アイデア一発勝負のB級映画です。ツッコミどころはキリがないぐらいあります。最後もバカみたいな終わり方です。しかし、このアイデアは邪道ですが、オリジナリティはあります。ネタは最初からけっこうバラしているのですが、オリジナリティがありすぎてまったく展開が読めません。B級とはいえ良い映画だと思いますね。怪物がたくさん出るシーンも面白かったです。
●ヴェノム:★★★★☆
主人公とヴェノムの友情の描写が甘いし、予定調和のよくあるストーリーだし、褒めづらい映画ですが、純粋に面白いですね。単純にヴェノムのキャラが気に入ったからでしょう。こいつは善い奴なのか悪い奴なのかわからないですね。自分の星では負け犬ですが地球ではけっこういい感じなので残りたがるところや、自分の弱点をペラペラ話すところなど、愛らしさがあります。
●ラストキングオブスコットランド:★★★☆☆
主人公の白人医師が独裁者の妻を寝取るほどのバカで、こいつにまったく感情移入できないのがこの映画の面白さを半減していますね。妻を寝取られたらアミンじゃなくても怒るでしょう。こんな奴が強引なストーリー展開で最後に無事に帰国できた時はムカつきましたから。アミンについては、ユーモアに隠れた猜疑心や怖さなど、色々な面から上手く描いているなと思います。
●クリーピー 偽りの隣人:★★☆☆☆
かみ合わない会話などのちょっとした所から感じる恐怖感とか、不気味さはすごく伝わってくるんですよ。だから決して悪い映画ではないんですが、ストーリー展開が納得できませんでしたね。薬で洗脳するというのは僕でも普通に考えつくのでサイコパスらしくないし、西野が高倉を洗脳したと信じて銃を渡すのも、僕でも絶対に渡さないのでサイコパスらしくないですし。
●search/サーチ:★★★☆☆
この映画は全編パソコンの画面でストーリーが進んでいく珍しいタイプのサスペンスなので物珍しいからかけっこう評価高いのですが、パソコン画面じゃなくても進行やトリックには何ら支障がありませんし、僕はそこまで面白くはなかったです。一度入力した文章を消したりなどの操作によってその人物の思いが読み取れるので、それを楽しむのですかね。
●ブラック・ダリア:★★☆☆☆
映画全体に漂う陰鬱な雰囲気は好きなんですが、登場人物に誰一人感情移入できないし、テンポは悪いし、急にわけのわからん展開になったりするし、最後まで観ても結局何が言いたいかよくわからなかったですね。簡単に言うと面白くないですね。監督が巨匠で、出演俳優も豪華なのに、世間の評価がそんなに良くないようですが、それも納得の作品です。
●聖の青春:★★★☆☆
僕は将棋にも興味がありますし、羽生や村山のこともよく知っているので、食堂のシーンなんかは感動しましたしそれなりに楽しめましたが、将棋に興味のない人が見たら何の盛り上がりもないくだらない映画でしょうね。主演2人も頑張っているんですが、羽生や村山には見えません。将棋を題材に映画を作ること自体が難しいですね。ドキュメンタリーの方がいいと思います。
●トランス・ワールド:★★★☆☆
登場人物も少なく、場面もほぼ山小屋だけで、明らかに製作費も安そうで、非常に地味な映画ですが、ストーリーはよくまとまっていますし、悪くはないです。ラストは一見さわやかですが、このジョディの人生ではトムの父親とは出逢わないだろうから、バッドエンドですかね。演出も安っぽいので、トムの自己犠牲に感動することもなかったですが。
●運命のボタン:★☆☆☆☆
「ドニ―・ダーコ」の監督の映画はこの映画を含めて3本観ましたが、「ドニ―・ダーコ」がまぐれだったんですね。この映画を含めて残り2本は大ハズレです。中盤から急に宇宙人の陰謀みたいな話になり、宗教的・哲学的なテーマも含んでいてえらい大層な話になるんですが、ストーリー展開が不条理すぎてついていけないし、テンポは悪いし、眠くて観るのが辛かったです。
先月に観た「ピエロがお前を嘲笑う」と同じく、信頼できない語り手の話でストーリーが進み、ラストにもう一捻り加えていますが、この映画のラストの一捻りはなかなかの衝撃です。全体的にこじんまりとしていて、他は特に褒めるところはないですが、この一捻りだけでも十分見る価値はあると思いますね。
●エミリーローズ:★★★☆☆
これ法廷劇だったんですね。ジャケットからは想像できませんでした。僕は悪魔だのマリアだのはこれっぽっちも信用していませんし、エミリーが精神異常者でてんかん持ちだっただけだと思うので、投薬や通院を強制的に止めさせたわけでもない神父がなぜ訴えられるのかというところで憤りを感じましたので、ラストにもそりゃそうだろと思っただけで感動はなかったです。
●マイ・インターン:★★★★☆
主要な登場人物は全員善人で、内容も浅いし、展開もご都合主義を極めているので、こんなに脳を使わずに観られる映画はなかなかないです。しかし、おとぎ話と割り切れば腹も立たないしそれなりに感動もします。「癒されたい」という意味では満点の映画です。僕は、旦那は浮気相手といざセックスしたらイマイチだったから切ったんだろとか下衆の勘繰りばかりしてましたが。
●メイズ・ランナー:★★☆☆☆
気がついたら知らない所にいて記憶がないとか、コミュニティに安住する派と逃げ出す派との対立とか、プロットはベタですね。タイトルに「メイズ」とあるんだからもっと迷路をクローズアップしてほしかったですし、タイトルに「ランナー」ともあるんだから、走ることについて何か意味があれば良かったです。ヒロインが出てきたぐらいからは特におもんなくなりました。
●キャビン:★★★★☆
アイデア一発勝負のB級映画です。ツッコミどころはキリがないぐらいあります。最後もバカみたいな終わり方です。しかし、このアイデアは邪道ですが、オリジナリティはあります。ネタは最初からけっこうバラしているのですが、オリジナリティがありすぎてまったく展開が読めません。B級とはいえ良い映画だと思いますね。怪物がたくさん出るシーンも面白かったです。
●ヴェノム:★★★★☆
主人公とヴェノムの友情の描写が甘いし、予定調和のよくあるストーリーだし、褒めづらい映画ですが、純粋に面白いですね。単純にヴェノムのキャラが気に入ったからでしょう。こいつは善い奴なのか悪い奴なのかわからないですね。自分の星では負け犬ですが地球ではけっこういい感じなので残りたがるところや、自分の弱点をペラペラ話すところなど、愛らしさがあります。
●ラストキングオブスコットランド:★★★☆☆
主人公の白人医師が独裁者の妻を寝取るほどのバカで、こいつにまったく感情移入できないのがこの映画の面白さを半減していますね。妻を寝取られたらアミンじゃなくても怒るでしょう。こんな奴が強引なストーリー展開で最後に無事に帰国できた時はムカつきましたから。アミンについては、ユーモアに隠れた猜疑心や怖さなど、色々な面から上手く描いているなと思います。
●クリーピー 偽りの隣人:★★☆☆☆
かみ合わない会話などのちょっとした所から感じる恐怖感とか、不気味さはすごく伝わってくるんですよ。だから決して悪い映画ではないんですが、ストーリー展開が納得できませんでしたね。薬で洗脳するというのは僕でも普通に考えつくのでサイコパスらしくないし、西野が高倉を洗脳したと信じて銃を渡すのも、僕でも絶対に渡さないのでサイコパスらしくないですし。
●search/サーチ:★★★☆☆
この映画は全編パソコンの画面でストーリーが進んでいく珍しいタイプのサスペンスなので物珍しいからかけっこう評価高いのですが、パソコン画面じゃなくても進行やトリックには何ら支障がありませんし、僕はそこまで面白くはなかったです。一度入力した文章を消したりなどの操作によってその人物の思いが読み取れるので、それを楽しむのですかね。
●ブラック・ダリア:★★☆☆☆
映画全体に漂う陰鬱な雰囲気は好きなんですが、登場人物に誰一人感情移入できないし、テンポは悪いし、急にわけのわからん展開になったりするし、最後まで観ても結局何が言いたいかよくわからなかったですね。簡単に言うと面白くないですね。監督が巨匠で、出演俳優も豪華なのに、世間の評価がそんなに良くないようですが、それも納得の作品です。
●聖の青春:★★★☆☆
僕は将棋にも興味がありますし、羽生や村山のこともよく知っているので、食堂のシーンなんかは感動しましたしそれなりに楽しめましたが、将棋に興味のない人が見たら何の盛り上がりもないくだらない映画でしょうね。主演2人も頑張っているんですが、羽生や村山には見えません。将棋を題材に映画を作ること自体が難しいですね。ドキュメンタリーの方がいいと思います。
●トランス・ワールド:★★★☆☆
登場人物も少なく、場面もほぼ山小屋だけで、明らかに製作費も安そうで、非常に地味な映画ですが、ストーリーはよくまとまっていますし、悪くはないです。ラストは一見さわやかですが、このジョディの人生ではトムの父親とは出逢わないだろうから、バッドエンドですかね。演出も安っぽいので、トムの自己犠牲に感動することもなかったですが。
●運命のボタン:★☆☆☆☆
「ドニ―・ダーコ」の監督の映画はこの映画を含めて3本観ましたが、「ドニ―・ダーコ」がまぐれだったんですね。この映画を含めて残り2本は大ハズレです。中盤から急に宇宙人の陰謀みたいな話になり、宗教的・哲学的なテーマも含んでいてえらい大層な話になるんですが、ストーリー展開が不条理すぎてついていけないし、テンポは悪いし、眠くて観るのが辛かったです。
『後妻業』
見どころはW木村のキャットファイトもさりながら、高橋克典の男の色気。すっかりノックアウトさせられました。最後は不自然な大阪弁もどうでもよくなったくらい…。
視聴率は芳しくなかったようですが、それもやむなし。大阪色が濃すぎます。いくらなんでもあんなコッテコテな大阪弁を話す人はいないし、ヒョウ柄や派手派手メイクを大阪の象徴みたいに扱うのもやめてほしいのですがね…。
後妻業というおどろおどろしいタイトルの割には、全体的に軽かったかな、という印象です。結局小夜子は殺人者なのか否か、そこは謎のままでした。小夜子と柏木のキスで全部飛んでいった感じです。しかし朋美とも和解? できて、結末的にはこれで収まったのですかね。
『イノセンス 冤罪弁護士』
変わり者のやり手弁護士とそれに振り回される若手弁護士…というよくある設定ながら、一話完結型のストーリーとラストまでつながる過去の事件という芯がしっかりしていました。十話の中にきちんと起承転結があり、オチもきれいにまとまっていたので後味が良く、見ごたえがありました。脚本が『ウロボロス』の古家和尚と知って納得。
坂口健太郎と川口春奈の演技力も思っていたほど気にはならず、毎回の豪華なゲストと個性的な主題歌も素敵でした。ただ藤木直人があいかわらず…な感じで、そこが少し残念でしたが、被害者遺族の胸中を吐露する場面は胸を打たれました。最終話のゲストの武田真治も意外な怪演でしたね。
『まんぷく』
最終週の予告で鈴さんのお葬式場面が流れた時には、「いやだー! 鈴さんとお別れなんていやだあー!」と予告なのに涙があふれてしまいました。生前葬と知ってホッ。しかしその回の視聴時はやっぱり泣いてしまいました。みんなの「ありがとう」と鈴さんの「ありがとう」に、半年間の思いが詰まっていて。赤津も見られたし。
萬平と福子の山あり谷あり谷あり山あり、最後の最後まで冒険の続く人生はまるでがむしゃらなマラソン選手と伴走者のようでした。朝ドラは主人公の生活が安定すると中だるみしがちですが、このお話は最終話の鈴さんのセリフのようにすぐまた苦労がやってくるのでそういう意味ではぎゅっと中身の詰まった物語だったと思います。転んでも苦しんでも夢に向かって走り続ける一途な萬平さんと、そんな夫に一途な福ちゃん、このふたりが一緒でなければ世紀の大発明は成されなかったことがしっかり伝わってきました。鈴さんだけでなく、真一さんや世良さんなどふたりを支え続ける人たちも魅力的でした。とくに真一さん演じる大谷亮平は印象ががらりと変わりました。穏やかだったり喧嘩が苦手だったり突如キレたり、見せ場が多かったです。
ただ、やっぱり最後まで福ちゃんというキャラを理解できませんでした。鈴さんや克子姉ちゃんが喜怒哀楽がはっきりしていて共感しやすい造形だっただけに、ひたすらあかるく陽気に萬平さんを信じてついていく福ちゃんは(自分にはできない生き方だからか)わかりづらかったです。もちろん時には弱音を吐いたり悩んだりすることもありましたが、のちに成功することがわかっていなければ見続けていくのはつらかっただろうと思います。そんな福子と対比するように、塩作りの時はけなげに軍団を支えていたタカが、昭和の妻とは思えない現代的感覚で仕事第一の夫を批判するようになってしまったのは、いったいどういう心境の変化なのでしょう。夫唱婦随の福子を描くことに対して何らかの忖度が働いたのではという気もしないでもありません。
そして、福ちゃんが主人公である以上、萬平さんの仕事場が自宅から会社に移っても福ちゃんの貢献が必要になってしまうがために、まんぷくヌードル開発時、福ちゃんアイディアひらめく→ありがとう福子! というパターンがくり返されてしまったのは少し残念でした。もちろん実際に仁子さんの助言が開発に役立ったこともあったのでしょうが。
それでもやはりまんぷくラーメンやまんぷくヌードルの完成に至るカタルシスは大きかったです。まんぷくラーメンの開発中は袋入りチキンラーメンを購入し、「明日の完成日にあわせて食べるんだー」と楽しみに取っておいたのに、翌朝起きたらなくなっていました。そして買いに行ったらもう棚にはありませんでした…。おそるべしまんぷくラーメンの影響力。そして最終回の日、やっぱり買ってしまったカップヌードル。
そして、やっぱり鈴さん。最後まで愛おしい存在でした。
総じてみると良作だっただけに、そのぶんもったいないところも気になったなあ…という感想でした。
『二つの祖国』
原作は未読ですし、過去の大河ドラマ『山河燃ゆ』ももちろん見ていません。戦中戦後の日系アメリカ人の苦しみは知識としてなんとなく知ってはいるものの、今作であらためて身にしみるものがありました。
膨大な資料と綿密な取材に基づく山崎豊子の原作を前後編にまとめたため、展開がややスピーディーでしたが、登場人物の状況も心情もちゃんと理解できる脚本になっていました。東京裁判のあたりはもっと時間を割くべきだったのでしょうが、賢次が広田弘毅に死刑を宣告する時の小栗旬、そしてリリー・フランキーの空虚な表情、ラストの賢次の自殺につながっていく表現は素晴らしかったです。
梛子を演じた多部未華子は楚々としながらも芯の強さが感じられ、昭和の雰囲気を醸し出していましたが、エミー役の仲里依紗のほうが印象に残りました。エミーは華やかで勝ち気で、しかし心弱さも併せ持っている、山崎豊子作品によく登場する女性像(『大地の子』の趙丹青のような)ですが、戦争に振り回され酒浸りになりやり場のない思いを賢次にぶつけるしかない悲哀を、仲里依紗が英語も含めてさすがの演技力で体現していました。
戦争がなければ、エミーも梛子も、女性としてのしあわせを手に入れていたはずでした。祖国であるアメリカに敵とみなされたのかと絶望しながら原爆症で死ぬことなど、あってはならないことでした。
それぞれが悲しい人生を歩む中、自分なりの道を切り拓いていったのがもうひとりの主役でもあるチャーリー。時には友人を騙し、利用し、批判もおそれぬ狡猾な生き方を貫いていきました。最後の最後まで、チャーリーはみずからの立場を守るために賢次を裏切ります。ただ、政略結婚の相手に重なった妹の原爆による火傷を負った顔に、チャーリーはなにを思ったのでしょう。
アメリカ人として生きるその身に宿る日本人の魂は、戦後のチャーリーをどう導くのでしょうか。
賢次とは違った道を歩んだチャーリーの生き方も興味深いですが、描写が薄かったのが少し残念でした。眼の光を消しヒールに徹していたムロツヨシですが、他の演者に較べて英語がやや拙かったのも気になりました。
テレビ東京系のドラマはほとんど見ることがないのですが、BGM含めて演出が新鮮でテンポも良く、俳優陣の熱演もあってとても見ごたえある作品だったと思います。
見どころはW木村のキャットファイトもさりながら、高橋克典の男の色気。すっかりノックアウトさせられました。最後は不自然な大阪弁もどうでもよくなったくらい…。
視聴率は芳しくなかったようですが、それもやむなし。大阪色が濃すぎます。いくらなんでもあんなコッテコテな大阪弁を話す人はいないし、ヒョウ柄や派手派手メイクを大阪の象徴みたいに扱うのもやめてほしいのですがね…。
後妻業というおどろおどろしいタイトルの割には、全体的に軽かったかな、という印象です。結局小夜子は殺人者なのか否か、そこは謎のままでした。小夜子と柏木のキスで全部飛んでいった感じです。しかし朋美とも和解? できて、結末的にはこれで収まったのですかね。
『イノセンス 冤罪弁護士』
変わり者のやり手弁護士とそれに振り回される若手弁護士…というよくある設定ながら、一話完結型のストーリーとラストまでつながる過去の事件という芯がしっかりしていました。十話の中にきちんと起承転結があり、オチもきれいにまとまっていたので後味が良く、見ごたえがありました。脚本が『ウロボロス』の古家和尚と知って納得。
坂口健太郎と川口春奈の演技力も思っていたほど気にはならず、毎回の豪華なゲストと個性的な主題歌も素敵でした。ただ藤木直人があいかわらず…な感じで、そこが少し残念でしたが、被害者遺族の胸中を吐露する場面は胸を打たれました。最終話のゲストの武田真治も意外な怪演でしたね。
『まんぷく』
最終週の予告で鈴さんのお葬式場面が流れた時には、「いやだー! 鈴さんとお別れなんていやだあー!」と予告なのに涙があふれてしまいました。生前葬と知ってホッ。しかしその回の視聴時はやっぱり泣いてしまいました。みんなの「ありがとう」と鈴さんの「ありがとう」に、半年間の思いが詰まっていて。赤津も見られたし。
萬平と福子の山あり谷あり谷あり山あり、最後の最後まで冒険の続く人生はまるでがむしゃらなマラソン選手と伴走者のようでした。朝ドラは主人公の生活が安定すると中だるみしがちですが、このお話は最終話の鈴さんのセリフのようにすぐまた苦労がやってくるのでそういう意味ではぎゅっと中身の詰まった物語だったと思います。転んでも苦しんでも夢に向かって走り続ける一途な萬平さんと、そんな夫に一途な福ちゃん、このふたりが一緒でなければ世紀の大発明は成されなかったことがしっかり伝わってきました。鈴さんだけでなく、真一さんや世良さんなどふたりを支え続ける人たちも魅力的でした。とくに真一さん演じる大谷亮平は印象ががらりと変わりました。穏やかだったり喧嘩が苦手だったり突如キレたり、見せ場が多かったです。
ただ、やっぱり最後まで福ちゃんというキャラを理解できませんでした。鈴さんや克子姉ちゃんが喜怒哀楽がはっきりしていて共感しやすい造形だっただけに、ひたすらあかるく陽気に萬平さんを信じてついていく福ちゃんは(自分にはできない生き方だからか)わかりづらかったです。もちろん時には弱音を吐いたり悩んだりすることもありましたが、のちに成功することがわかっていなければ見続けていくのはつらかっただろうと思います。そんな福子と対比するように、塩作りの時はけなげに軍団を支えていたタカが、昭和の妻とは思えない現代的感覚で仕事第一の夫を批判するようになってしまったのは、いったいどういう心境の変化なのでしょう。夫唱婦随の福子を描くことに対して何らかの忖度が働いたのではという気もしないでもありません。
そして、福ちゃんが主人公である以上、萬平さんの仕事場が自宅から会社に移っても福ちゃんの貢献が必要になってしまうがために、まんぷくヌードル開発時、福ちゃんアイディアひらめく→ありがとう福子! というパターンがくり返されてしまったのは少し残念でした。もちろん実際に仁子さんの助言が開発に役立ったこともあったのでしょうが。
それでもやはりまんぷくラーメンやまんぷくヌードルの完成に至るカタルシスは大きかったです。まんぷくラーメンの開発中は袋入りチキンラーメンを購入し、「明日の完成日にあわせて食べるんだー」と楽しみに取っておいたのに、翌朝起きたらなくなっていました。そして買いに行ったらもう棚にはありませんでした…。おそるべしまんぷくラーメンの影響力。そして最終回の日、やっぱり買ってしまったカップヌードル。
そして、やっぱり鈴さん。最後まで愛おしい存在でした。
総じてみると良作だっただけに、そのぶんもったいないところも気になったなあ…という感想でした。
『二つの祖国』
原作は未読ですし、過去の大河ドラマ『山河燃ゆ』ももちろん見ていません。戦中戦後の日系アメリカ人の苦しみは知識としてなんとなく知ってはいるものの、今作であらためて身にしみるものがありました。
膨大な資料と綿密な取材に基づく山崎豊子の原作を前後編にまとめたため、展開がややスピーディーでしたが、登場人物の状況も心情もちゃんと理解できる脚本になっていました。東京裁判のあたりはもっと時間を割くべきだったのでしょうが、賢次が広田弘毅に死刑を宣告する時の小栗旬、そしてリリー・フランキーの空虚な表情、ラストの賢次の自殺につながっていく表現は素晴らしかったです。
梛子を演じた多部未華子は楚々としながらも芯の強さが感じられ、昭和の雰囲気を醸し出していましたが、エミー役の仲里依紗のほうが印象に残りました。エミーは華やかで勝ち気で、しかし心弱さも併せ持っている、山崎豊子作品によく登場する女性像(『大地の子』の趙丹青のような)ですが、戦争に振り回され酒浸りになりやり場のない思いを賢次にぶつけるしかない悲哀を、仲里依紗が英語も含めてさすがの演技力で体現していました。
戦争がなければ、エミーも梛子も、女性としてのしあわせを手に入れていたはずでした。祖国であるアメリカに敵とみなされたのかと絶望しながら原爆症で死ぬことなど、あってはならないことでした。
それぞれが悲しい人生を歩む中、自分なりの道を切り拓いていったのがもうひとりの主役でもあるチャーリー。時には友人を騙し、利用し、批判もおそれぬ狡猾な生き方を貫いていきました。最後の最後まで、チャーリーはみずからの立場を守るために賢次を裏切ります。ただ、政略結婚の相手に重なった妹の原爆による火傷を負った顔に、チャーリーはなにを思ったのでしょう。
アメリカ人として生きるその身に宿る日本人の魂は、戦後のチャーリーをどう導くのでしょうか。
賢次とは違った道を歩んだチャーリーの生き方も興味深いですが、描写が薄かったのが少し残念でした。眼の光を消しヒールに徹していたムロツヨシですが、他の演者に較べて英語がやや拙かったのも気になりました。
テレビ東京系のドラマはほとんど見ることがないのですが、BGM含めて演出が新鮮でテンポも良く、俳優陣の熱演もあってとても見ごたえある作品だったと思います。
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