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かすむ夜の光を花とにほふにぞ月のかつらの春もしらるる(二条為明)
去年後半は映画をたくさん見ましたし、「ドント・ウォーリー・ダーリン」なんかはかなり良かったのですが、文章を書く習性がなくなっており、なかなか感想が書けませんでした。今年こそは短くても書いていこうと思います。

〇 SUMMER OF 84(サマー・オブ・84):70点

 
 80年代のアメリカを舞台として、何の特徴もない主人公、いじられデブ、物知りメガネ、大人びた不良、という非常にわかりやすいキャラクターである4人の少年達のひと夏の冒険を描くジュブナイル作品、と思いきやラスト15分ぐらいで急に展開がおかしくなる映画です。
 このおかしくなるところがたぶんこの映画のアピールポイントだと思うのですが、普段の僕がバッドエンドの映画を好んで見すぎてしまっているせいか、個性はあるなあと思いましたが、衝撃はありませんでした。こんなちょっと捻くれただけの映画より、ド直球のホラー映画である「テリファー」なんかの方が圧倒的に後味は悪いですから。主人公の少年は酷い目に遭いますが、隣人マッキーの言う通り自業自得としか言えないですしね。
 ただ、ヒロインのニッキーが本当に引っ越してしまうところなんかは、主人公の将来に何の希望もない気がして面白かったです。裏切り者のメガネや不良と友情が戻ることももうないでしょう。人生というのはそんなものです。

〇 アフターサン:85点

 これはあまり見たことがないタイプの映画ですね。
 普段は離れて住んでいる父と娘がトルコで一緒に過ごした時間を、大人になった娘が思い返している映画なんですが、このトルコでの夏は、父が娘に高いじゅうたんを買ってあげたり、娘がへたくそな歌を人前で歌ったり、父が狂ったようにダンスをしたり、父の誕生日を娘のサプライズでみんなが祝うんですが父があまり喜ばなかったりなど、本当にくだらないことしかありません。娘が夜に外で独りぼっちになってしまうこともあるのですが、そこでも何の事件もありません。本当に何もなく、ラストは父と娘が空港で別れて終わります。
 父と娘が一緒に過ごすことによって絆を深めていくことに感動するとか、そういった映画ではありません。別に父娘は元から仲が悪いわけでもないですしね。もう死んでしまった父とのあの夏の思い出が懐かしくもあり悲しくもあると、娘の心情を思いやって感動するような映画でもありません。確かに大人になった娘は父との思い出には浸っていますが、そんな単純な映画ではありません。男と女とは何か、大人と子どもとは何か、親と子とは何か、それらについて我々が持つ古い価値観やイメージを揺さぶっているのはわかりますが、これも揺さぶっているだけで壊したり新しい結論を出しているわけではありません。
 ただ、悪い映画ではありません。むしろ良い映画です。その良いと思った理由を説明できないのがこの映画の難しいところですが。新しいタイプの映画なので、映画通ぶりたい人のマウント取りに使われそうなのが一番の欠点でしょう。

〇 フォロウィング:65点

 クリストファー・ノーランのデビュー作ですね。金はかかってなさそうな映画ですが、音楽やモノクロ映像など雰囲気は悪くないですし、クリストファーノーランらしく編集は巧みで、時系列をシャッフルし、終盤畳みかけるように伏線回収が行われ、ラストにあーそういうことかと思わせたところで大きなどんでん返しがあります。まさに、センスはある、独創性もある、ないのは金だけという人が作った映画です。
 ただ、組み立て方に感心はしますがそこまで大したストーリーではないですし、楽しめたかと言われたらそうでもないです。クリストファー・ノーランは才能はあるんだなあとわかるだけの映画ですね。

〇 シャイニング:60点

 去年「羊たちの沈黙」を初めて見た時も思ったのですが、いくら歴史に残る名作でも後になって観るとすごさがわかりませんね。「ユージュアル・サスペクツ」や「ソウ」なんかは公開当時に観てとんでもなく面白かったので、もし公開当時に観ていたらこの映画ももっと面白かったのでしょう。「ユージュアル・サスペクツ」や「ソウ」を観た時より僕自身の感性が鈍くなっているという可能性もありますが。

〇 PERFECT DAYS:75点

 社会的地位や他人の目を気にせず、過去も未来も捨てて、毎日のルーティンを大切にしながら、今を幸せに生きている主人公を描いています。しかし、生きているかぎり、色々な人と関わり、色々なことが起こるので、その都度心は揺れ動きます。寝ている間の夢もいいものではなさそうです。過去への後悔、未来への不安だってきっとあるでしょう。主人公は神様ではないので、感情はあります。それが溢れ出ることもあります。
 非常に観てて心地良い映画です。この映画の主人公は木漏れ日ばかりを撮影する趣味がありますが、まさに木漏れ日のような、一瞬の新鮮な美を描いた映画です。ただ、現実感があるようでまったくなく、どこか冷めた目で観てしまう自分がいますね。アート作品だと割り切って楽しめればかなり素晴らしい作品なんですが。

〇 DOGMAN(ドッグマン):65点

 前回のパーフェクトデイズと一緒で、とても見やすい映画です。「レオン」のリュック・ベッソン監督ですね。そういえばパーフェクトデイズは「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース監督ですね。2人共地位も名誉もお金も手に入れて、心が穏やかなのでしょう。そういう生活も精神も安定した人の作った映画は見やすいですね。
 ただ、見やすいというのは時間つぶしには良いということだけで、心に残る名作ではないです。この映画で主人公のドッグマンに優しいのは、人間ではオカマと黒人だけなのですが、そういう一昔前の社会的弱者を善人に描くところが、大御所監督らしい気配りですね。ドッグマンのくせに人間と心が通うのはなんか違う気がしました。

〇 ザ・ピーナッツバターファルコン:75点

 いい映画なんですけどね。ラストがかなりもやもやしました。それがなければもっと点数が高かったです。
 この映画は死んだタイラーの兄を今のタイラーに、兄が生きていた時の弟タイラーを今のザックに投影させ、ストーリーが進んでいく映画です。そしてタイラーが、ザックのプロレスの夢をかなえてやろうとザック以上に必死になっていたのと同じように、タイラーの兄は弟タイラーのフロリダで船を持つ夢をかなえてやりたいと思っていたでしょう。
 普通に考えればラストでタイラーは死んでいると思うんですが、そこは余韻を残すとかそんなんはいらないので、タイラー兄弟の物語をきちんと完結させてほしかったです。
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◇『ロブスター』 ★★★★★

 僕はこういう芸術性の高そうな映画通向けの映画は眠くなるので観ないんですが、この映画は極限までシュールな世界観が面白かったです。もはやコメディです。しかしまったく笑えません。とにかく観ていて不愉快ですからね。レビューサイトの点数が低いのも納得です。たまたま僕にハマっただけです。この監督の作品は「籠の中の乙女」という映画も観ていますが、そっちはそんなに面白くなかったですし。
 2本ともそうなのですが、この監督は閉ざされた世界で歪んだ価値観で教育され心を支配されるみたいなのが好きなんでしょうね。今回の映画も、独身は悪とされ、独身者はホテルに45日間閉じ込められ、その間にカップルになれなければ動物に変えられるんですが、なぜかみんなルールに逆らうことなく素直にカップル成立を目指して頑張っています。僕はこんな狂った世界ならさっさと猫になって自由に生きますが。
 ホテルで毎日開かれるカップルはいいもんだみたいなミニ寸劇や、勃起力チェックの尻コキなど、1つ1つの狂った描写が秀逸です。また、独身は悪という社会のルールに逆らうレジスタンス集団が森にいて、こちらは逆に恋愛禁止で、愛なんてしょせん我が身可愛の前では崩れ去るものだよということをわからしめる活動にいそしんでおり、集団の中で恋愛した者にも意地の悪い罰を与えます。主人公カップルに与える罰は、意地が悪すぎて、このドライな僕が心の底からしんどくなりました。しかしこの集団のリーダーが親の前では常識人ぶってたり、おのおのが一人でヘッドホンで好きな音楽を聴いて踊っているダンスシーンなど、こっちはこっちでとても上手に醜悪に描いています。監督にお前の恋愛観はどういうものなんだと聞いてみたいです。
 さらに、この映画のカップル成立というのは、お互いに恋愛感情があるというより、相手との共通点があるということが大事で、そもそも共通点がないとカップルとして成立せず、みんな近視、鼻血、サイコパスなど何でもいいのでとにかく相手との共通点を見つけ出そうと頑張っています。こんなばかばかしい歪んだ価値基準が、この物語のラストまで引っ張られる非常に重要なものとなっていることも、シュールすぎて胸が苦しくなりますね。
 ちなみにラストは僕の中では答えは出ていますが、オープニングのロバのやつがまったく意味がわかりませんでした。このオープニングをラストと結びつける考え方もあると思いますが、この監督に限ってそんな情感のあるラストにするとは思えません。僕みたいな凡夫なら、たぶんラストはロブスターを映して、さあこれで何が起こったかわかるだろう、だから映画のタイトルはロブスターだ!とかほくほく顔でインタビューで語っていると思いますが、そうではなかったですね。このラストは賛否両論あると思いますが、監督が凡夫ではないことは確かです。
 今話題の松本人志も、大衆受けはしないけど賞レースでは絶賛され、コメディタッチなのに笑えそうで笑えないシュールで奇妙な世界観のこういう映画を、引退する前に作ってほしかったですね。

◇『さがす』 ★★★☆☆

 ポンジュノの弟子という肩書きを手に入れた監督が、快楽殺人鬼、難病、安楽死などの重いテーマを、演技力のある俳優ばかりを使って描いています。なので良い映画になる環境はとても整っているはずなのですが、どこか物足りなかったですね。僕はこの監督は「岬の兄妹」も観ましたが、テーマは同じように重かったし、こちらも悪くはなかったんのですが、今となってはストーリーをほとんど忘れてしまっているぐらい心に残っていないです。
 この監督が自分のブランディングに利用しているポンジュノの「母なる証明」や「殺人の追憶」なんかは、かなり昔に観たのに覚えていますから、やはりポンジュノ風味とはいえ本家と比べると演出も脚本もキャラの造形もどこか甘いんでしょうね。ラストの長回しの卓球シーンも、ここは見せ場にしたかったのか色々な演出を入れてきていますが、どこか軽く、感情が揺さぶられません。1つ前に観た「ロブスター」のラストの喫茶店のシーンとは明らかに違いますから。

◇『ダーク・アンド・ウィケッド』 ★☆☆☆☆

 
 この映画には悪魔みたいな存在がいるようなのですが、というかちょっと映っていたので間違いなくいるんですが、こいつの攻撃方法がとにかくめんどくさくて、幻覚を見せたり物を動かしたりして恐怖心を植え付けることによりその人を弱らせ、心が弱ったあとに乗りうつって自殺させる、みたいな手順で人間をやっつけるようです。
 これを何人分も見せられるだけの映画なので、パターンがわかってからは飽きましたね。幻覚シーンも、またかよめんどくさいなあと思うだけで怖くなくなるので、ホラー映画としてはダメな気がします。
 また、ストーリーの端々で、主人公たちは親にかわいそうなことをしただの、1人にして申し訳なかっただの、罪悪感や孤立感が悪魔に隙を見せるみたいなことを匂わせますが、心身共に健康そうな看護師も勇気を持って家族に寄り添うヒロインもダメだったので、どうやらこの映画の悪魔はとても強く、戦えないし逃げられないので、いやこの戦えないし逃げられないという着眼点は新しいのかもしれませんが、結末が見えてしまうので、ストーリーも全然面白くなかったです。

◇『ヴィーガンズ・ハム』 ★★★★☆

 この映画は間違いなくコメディ映画でしょうけど、ヴィーガンの人をバンバン殺しそれを売るという、とんでもない残虐なことをしている肉屋夫婦を、嫌いになれないところかむしろ微笑ましく見えてしまうところが、コメディ映画としてうまくできていると思いますね。
 もちろん松本人志が大絶賛した「ライフイズビューティフル」には及びませんが、松本人志もライフイズビューティフルのマネをして感動要素を入れたりせず、純粋なコメディ映画を作ったら、このぐらいの映画は作れたかもしれません。こういう映画でも独自の世界観はありますし、それなりに評価はされたと思うのですが。
 確かに我々が普段食べている牛や豚は草食動物ですし、野菜ばかり食っている奴より肉ばかり食っている奴の方がなぜか体が臭くて肉もまずそうなイメージを抱いてしまいますから、ヴィーガンの肉はおいしいというこの映画の設定は妙に納得してしまいます。
 ヴィーガンをちょっとうっとうしく描いているのも良かったんでしょうね。ヴィーガンが観たら怒ると思いますけど。日本には自称動物好きはたくさんいますが、肉、魚、卵はもちろん食べない、動物園や水族館は行かない、ウール素材の服や皮革製品は身に着けない、動物実験しているメーカーの化粧品を買わない、ぐらいの初級ヴィーガンすら僕は1人も出会ったことがありませんから、この映画は日本人には合うと思います。

◇『オットーという男』 ★★★☆☆

 僕はこういうお涙頂戴のヒューマンドラマはあまり得意ジャンルではないのですが、10本に1本ぐらいは人並みに感動しますし、この映画は監督がマーク・フォースターで、主演がトム・ハンクスで、映画.comやフィルマークスなどの批評サイトで4.0ぐらいの評価だったので、けっこう期待していたのですが、残念ながらイマイチでした。
 いい人ばかり出てくるのはこういう映画のあるあるなのでまあいいんですが、死んだ妻だけに愛情を注いで生きてきて、妻が死んだあとはすべてに対して心を閉ざしている主人公の爺さんが、色々な人々(猫も含む)になぜ心を開いていったのかがよくわかりませんでした。この映画は、死んだ妻だけに愛情を注いで生きてきて、妻が死んだあとはすべてに対して心を閉ざしている主人公の爺さんが、色々な人々(猫も含む)に心を開いていく過程を描く映画なので、感動できるはずがありません。僕がこういうジャンルの映画の読解が苦手なのもあると思いますが、若者時代を描き過ぎて爺さんの尺が短すぎたような気がしますね。
 猫はかわいかったですね。あと、老人、黒人、病人、移民、妊婦、身体障害者、トランスジェンダーとよくここまで社会的弱者を全部詰め込めたなと感心しました。

◇『ワンダー 君は太陽』 ★★★☆☆

 障害児が1年間普通学級に通えたということだけの映画ですね。もちろんかなりの難行なのはわかっていますが、それはオギーが頑張ったとかではなく、両親、姉、教師達、友人達などの周りの人々がたまたま良い人達だったからということにすぎないですから、感動はないです。
 ただ、周囲が良い人達ばかりなので、安心して観ることができました。もちろん現実はこんなに甘くないので、こんなもん偽善映画だという人もいるでしょうが、僕は現実が甘くないからこそこういう映画が必要だと思いますね。
 オギー以外の様々な登場人物の視点を描くのはいい試みだと思います。ただ、このせいで逆にオギーの描写が薄くなり、オギーの魅力がいまいち伝わらなかったですね。普通に自分のことでいっぱいいっぱいの他者視点のない障害者に見えます。ちょっと成長して他者のことも考えるようになったことを匂わす描写もありましたが、人を魅了してやまないというほどではないです。

◇『フレンチアルプスで起きたこと』 ★☆☆☆☆

 僕はヨーロッパ映画はハマるかハマらないかが極端なのですが、この映画はダメでした。かなり悪趣味な監督で、人間の悪い部分を丁寧に描いていますし、何かが起こりそうな緊張感や不穏な空気は出せていますが、あまりにも表現が淡々とし過ぎているのと、ワンシーンがだらだら長くてしつこいので、眠くて退屈でした。
 あと、こういうスマートでシュールで小洒落たヨーロッパ映画を観て、「人間の本性を良く描いてるなあ、ブラックすぎて笑えないよ。」とか黄色人種が苦笑いをしながら語る姿を想像してしまったのもダメでしたね。映画通ぶりたいとか知性的に見られたいならこんなにぴったりの映画はありませんから。
◇『ノック 終末の訪問者』 ★★☆☆☆

 僕もシャマランの映画は10本以上観ているので、良いシャマランと悪いシャマランの両方共よ~く知っています。今回は悪いシャマランでした。1つの思いつきだけで強引に作り、まったく練られていない設定やストーリーに、あっけにとられるほどの弱いオチです。僕にキリスト教の知識がなく、終末観がどんなものかわからないとかは関係ありません。単純にいつもの悪いシャマランです。しかし今回のラストは特にひどいですね。そのまますぎるでしょ。
 ゲイカップルと養子のアジア人少女が主人公なのですが、監督のシャマランは確かアジア人の女の子を養子にしていたはずなので(シャマランはインド系)、そういう自分に酔っているのもよくわかりました。

◇『ミーガン』 ★★★★☆

 この映画は面白かったんですが、子どもに必要なのは生身の人間との関わりなんだよとか、辛い感情を持つのは人として当たり前のことなのでそれを誤魔化すのではなく向き合ってくれる人の存在が大切なんだよとか、そんな有り体のテーマに感動したのではなく、純粋なエンタメ作品として面白かったですね。
 ミーガンが発達障害の悪ガキとか隣の家の犬飼ってるババアとかを殺したりするとこがスカッとして楽しいです。ジェマの上司を殺すあたりはちょっと不条理すぎるなあとも思いますが、悪役が魅力的な映画は面白いです。

◇『X エックス』 ★★★☆☆

 僕もけっこうなじじいになってきたので、パールのように自分の老いを受け入れられず、自分の思い描いていた人生でなかったと嘆くのは理解できますが、かといって若者に嫉妬したり憎んだりする気持ちはまったくなく、むしろ自分と同年代か年上のジジババが大嫌いなので、パールの若者に対する暴走はちょっと理解できませんでしたね。また、パールと対比して描かれる上昇志向が強くブレない心を持つ女主人公のマキシーンに、外見も性格もまったく魅力を感じなかったため、そこまで面白くはなかったですね。

◇『すばらしき世界』 ★★★☆☆

 良くまとまっていますし、ケチをつけるところは特にないのですが、社会的弱者の生きづらさと、そんな社会でのひとすじの希望、みたいなテーマは扱いやすいと思いますし、主人公の三上の愚直で正義感が強いが、気が短くキレると暴力に頼ってしまうという、とにかく生きるのが不器用なんだよこの人はという人間像もとてもありきたりです。西川美和監督の映画はデビュー作から観ていますが、なんでこんなベタな設定の映画を撮ったんだろう、ちょっと大御所感が出てきたなと思いますね。
 もともとこの監督は、ごく普通に生きてる一見善良な人間が持つ、小さなほつれのようなイヤな部分を、じわーっと染み渡るように描くのが上手かったのですが、こんな映画でそういう繊細でクセのある演出は不要ですから、別にこの監督が撮らなくてもいいのかなと思います。ラストも好きじゃないですね。何ですかあの心の底から善良な人物として描かれた障害者にもらったコスモスは。あれがこの社会のひとすじの希望ですか。
ハロウィン・パーティの帰り、タラとドーンはダイナーで酔い醒ましをすることにした。 そこに入ってきたのは、ゴミ袋を担いだピエロメイクの男。どういうわけか彼はタラに熱視線を送り続け、その姿にタラは不気味がる。 しかし、しばらくするとピエロメイクの男は、トイレでなにか問題をおこしたようで店を追い出されてしまった。 ほどなくしてタラとドーンも店を出るが、止めておいた車がパンクしている。 タラは妹のヴィクトリアに電話して、迎えにきてもらうことにしたが、その裏でピエロメイクの男はダイナーの店員を殺害。 そこからタラは一晩中ピエロメイクの男に追われるはめに.....。

 6月から日本でも公開されるこの映画の続編が、先に公開されたアメリカで失神&嘔吐者続出だという嘘か本当かわからないネット記事を読んだので、本当かなと思い、日本では当時映画館で公開されなかった(今は2の公開に先立ち少数の映画館で上映)1を観てみることにしました。結論から言うと、僕のようにスプラッター映画が好きなわけではないが、耐性はあり時々はそういう作品も観るレベルの人では、嘔吐や失神はありえないので、この宣伝文句は99%嘘ですね。ゴア表現に抵抗のある人はこんな映画はそもそも観ないでしょうし。

 ちなみに、抵抗のある人は観ない方がいいです。たぶん不快感しかないと思います。「ラストサマー」の崖から落ちた爺さんの顔をつぶすシーンの何倍も惨い描写があります。これはさや氏にも薦めないようにします。

 主人公のアートザクラウンという殺人鬼はピエロに変装しているだけあってユーモアは多少ありますが、人が苦しむ姿が大好きなただのサイコパスです。まあ、相手の顔を潰すことにこだわりがあるのかなあとは思いましたが、バックボーンがまったく語られていないので正しいかどうかは分かりません。ストーリーもこいつが色んな人間に襲い掛かるだけです。襲われる奴らもホラー映画のお約束で全員馬鹿な行動しかとらないので特に個性もないです。映像も古臭いですし、エロシーンもありますし。古き良きB級ホラーを意識しているのは分かりますが、なぜこの映画の続編がアメリカでヒットしたのかよくわかりません。「IT」の流れでピエロが悪役の作品が受け入れられやすいのですかね。

 こういう映画は非常に評価がしづらいですが、途中でヒロインが入れ替わるところと、ピエロがいきなり銃を出すところは、まったく予期しておらずびっくりしたので良かったと思います。ピエロがエロ担当の女を縦に切るところもなかなかインパクトがありましたね。いや縦に切るのは他の映画でもあったかもしれませんが、この映画は切り方に特徴があります。ただ、最後まで観ても、結局オープニングシーンが意味わからなかったですね。いや意味は分かりますよ。殺された奴は悪口言ってましたから。ただ、殺した方の人がそんなことする人だったかなあと違和感がありましたね。
『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督、ダニエル・カルーヤ主演によるSFスリラー。落下した飛行機部品の衝突で父を亡くしたOJは、事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。妹・エメラルドはこの飛行物体を撮影しようとするが…。

 ジョーダン・ピールの初監督作品「ゲットアウト」は確かに面白い映画でした。監督2作目の「アス」は、まあ普通ですかね。しかし今回の監督3作目はもはや普通以下になりました。もちろん今までと変わらず人種問題をテーマにしていますから、人魚姫を黒人に演じさせている今のアメリカでは、この監督は時代の寵児なんでしょうが、日本人の僕はただ面白い映画を観たいだけですからね。映画の歴史で黒人がないがしろにされてきたとか、ストーリーと直接関係ないテーマはどうでもいいですから、本筋のストーリーを面白くしろと言いたい。

 むしろそういう黒人第一主義がマイナスに働いており、主役の黒人兄妹は個性的な魅力のあるキャラクターに描かれていますが、白人2人はどういう人間かイマイチよくわかりませんでした。黒人兄妹に比べ人物描写が極端に少ないからですね。カメラマンのホルスト
なんかは最後どうしてあんな行動に出たかまったく理解できません。家で動物が捕食される映像ばかり見ていたので、究極の捕食マニアという解釈でいいのでしょうか。そうだとしたらもうちょっと白人キャラも頑張って描けよと思いますね。エンジェルとかいうもう一人の白人の電気屋の兄ちゃんに至っては、あ、そういえばこいつどうなったんだ、いや死んだシーンはないのか生きているのかな、と思ったぐらい存在感がありませんでした。僕が今まで見てきた映画の黒人は定型的な人物描写だったのかもしれませんが、さすがにもうちょっと人間味があったので、この映画ほど白人に見せ場を与えないのはあまりにも不自然で違和感しかないです。

 ちなみに黄色人種のジュープとかいう登場人物は、動物に敬意を持つ黒人主人公と違って、幼少期に、たまたま垂直に立った靴を見ていたらチンパンジーと目が合わず殺されなかっただけなのに、自分は動物と心を通わせていると勘違いして、未確認飛行生物を餌付けして見世物にしていた愚かで調子乗りで傲慢なイタい人間に描かれていますが、ここまで長々と説明できるぐらいは見せ場があったのでまだ白人よりマシですね。しかし黄色人種も差別の対象のはずですが、黒人兄妹に比べたらかなり性格が悪いキャラなので、結局この監督は黒人ですから、自分の人種である黒人さえ良ければ、他の人種は差別する側だろうがされる側だろうが興味も敬意もないのでしょうね。

 チンパンジーのゴーディの誕生日のシーンだけは良かったです。オープニングでこっちに気づくところなんかは、この監督はホラー映画の演出はさすがプロだなあと思いますね。未確認飛行生物は布感がひどくてイマイチ怖くなかったので、この監督はこれからは今回みたいにSF要素を入れず純粋なホラーだけ撮ってればいいですね。ただ、このチンパンジーの話は、イエローモンキーである黄色人種のジュープは間接的な人種差別のためか登場しますが、主人公の黒人兄妹は登場しないんですよね。動物を見世物にしたらしっぺ返しがくるということを言いたいんでしょうが、チンパンジーの話を入れるなら、この映画の主人公はジュープじゃないとちょっと違和感があります。
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